一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

化学物質過敏症に関する請願 情報ハック

請願(せいがん)を利用して、化学物質過敏症対策や香害対策を進めていく手順やコツをまとめました。

 

 

 

請願とは

請願は、憲法に定められた制度です。住民が政治に対する要望、苦情等を、直接的に議会に述べることができます。請願書(せいがんしょ)提出には、紹介議員が必要です。

紹介議員がいない場合は、請願書ではなく陳情書(ちんじょうしょ)を提出することになります。

請願書・陳情書の提出方法については、お住まいの自治体や議会の公式サイトをご確認ください。

なお、提出された請願書・陳情書は、公的な要望書として取り扱われます。多くの自治体が、提出された請願書・陳情書をネット公開しています。

 

 

化学物質過敏症に関する請願

2021年11月、一社)化学物質過敏症・対策情報センターは、沖縄県議会宛てに、以下の「化学物質過敏症に関する請願」を提出しました。

沖縄県議会のサイト にも公開されています。

 

受理番号 :第4号
付託委員会:文教厚生委員会
受理年月日:令和3年11月26日
付託年月日:令和3年12月8日
件名   :化学物質過敏症に関する請願
提出者  :一般社団法人 化学物質過敏症・対策情報センター 上岡 みやえ
紹介議員 :翁長 雄治

 

【要旨】
 化学物質過敏症は、ごく微量の化学物質に反応して体調不良を起こす疾病であり、発症のきっかけ、症状及びその度合いは個人差が大きいことが特徴である。化学物質過敏症が悪化すると、学校へ行くことも働くことも困難になる。肉体的苦痛はもちろんのこと、周囲の無理解による精神的苦痛、生活が破壊されていく恐怖、経済的な困窮、将来に対する不安感などは、筆舌に尽くし難い。
 2015年に発表された疫学調査によると、化学物質過敏症の有病率は成人の7.5%に上り、子供の発症者も増えている。しかし、この病について知る医療従事者は少なく、社会的認知度も低い。化学物質過敏症の診断書を書ける医師は国内に数名しかおらず、不適切な処置により体調を悪化させている人が多いことが懸念されている。化学物質過敏症を発症させない、悪化させないために、社会的対策を講ずる必要がある。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。

 

【記】
1 県のホームページに化学物質過敏症の情報を掲載すること。ポスター・チラシを作成し、県内の保健所、役所及び公立病院に掲載・配布すること。
2 県内の全ての公立学校の養護教諭向けに、化学物質過敏症の勉強会を開催すること。
3 県内の全ての公立学校において毎年4月に行われる健康診断の際に、教員及び保護者向けに化学物質過敏症の説明文書を配布すること。
4 県内の全ての公立学校において毎年4月に行われる健康診断の問診票に、化学物質過敏症に関する質問事項を追加すること。
5 県内の全ての公立病院において、化学物質過敏症の診断書を発行できるようにすること。


【解説】

1 県のホームページに化学物質過敏症の情報を掲載すること。ポスター・チラシを作成し、県内の保健所、役所及び公立病院に掲載・配布すること。

➢ 沖縄県と那覇市の公式サイトには化学物質過敏症のページが追加されました。感謝。那覇市保健所ではポスターを作成くださいました。
大きな前進ですが、化学物質過敏症について知る人が増えたとは言い難い状況です。


2 県内の全ての公立学校の養護教諭向けに、化学物質過敏症の勉強会を開催すること。

3 県内の全ての公立学校において毎年4月に行われる健康診断の際に、教員及び保護者向けに化学物質過敏症の説明文書を配布すること。

4 県内の全ての公立学校において毎年4月に行われる健康診断の問診票に、化学物質過敏症に関する質問事項を追加すること。

 

2・3・4
養護教諭、教員、保護者に向けて化学物質過敏症についての説明を継続することで、環境汚染の実態を知る人が増え、環境汚染から身を守ることにつながります。

 


5 県内の全ての公立病院において、化学物質過敏症の診断書を発行できるようにすること。

化学物質過敏症の診断書を発行している医師は日本に数名しかおられません。診断書がないために、職場や学校で窮地に立たされる人が激増しています。

沖縄県に専門医を招いて、医師向けの勉強会を開催し、すべての公立病院で診断書を発行できるようにしてほしいという要望です。

治療法が確立していない化学物質過敏症の<治療>をしてくれとお願いしているわけではありません。

 

※「化学物質過敏症に関する請願」は、2023年4月現在、沖縄県議会に設置されている「文教厚生委員会」にて<継続審査中>です。

 

 

健康診断問診票

化学物質過敏症・対策情報センターが2021年11月に提出した「化学物質過敏症に関する請願」を受けて、翌2022年、県立学校の健康診断問診票に「化学物質や香りで体調が悪くなったことがある」という一行が追加されました。

 

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毎年必ず実施される学校の健康診断のときに配布される<健康問診票>に、「化学物質や香りによって具合いが悪くなったことがある」という発想や視点が導入されることの意義は大きいです。

この質問に対して、県立学校634名の生徒が<イエス>と回答しました。

これを受けて、沖縄県教育委員会は「香りで悩む人がいることへの配慮」を呼びかけてくれました。


県内すべての公立学校の健康問診票に追記してほしい
大きな前進ではありますが、請願書では「県内の全ての公立学校」にて化学物質過敏症に関する質問事項を追加することを要望しています。

今後、市町村立学校の健康問診票にも、化学物質過敏症に関する質問が追加されること、そして、よりくわしい質問がなされることが最終ゴールです。

 

請願書に添付した資料

沖縄県議会の文教厚生委員会では、請願書の本体(A4用紙1枚)だけしか審査されていませんが、沖縄県議会には、以下の資料を添付資料として提出しています。

 

化学物質過敏症/香料過敏症に対応する質問例

 

◆横浜国立大学大学院環境情報研究院 中井里史教授 考案◆

以下のものを使用したり、触れたりした際に、発疹やじんましんを起こす、あるいは気持ちが悪くなるなど、体調がすぐれなくなることがありますか。(はい/いいえ で回答する)

①洗濯用洗剤
②衣料用漂白剤
③柔軟剤
④衣料用防虫剤
⑤芳香剤
⑥線香
⑦殺虫剤(スプレータイプ)
⑧文具(マジック、ノートなど)
⑨塗料
⑩家具・建材

 

※中井里史教授は、化学物質の使用に伴うヒトの健康リスク、生態リスク、ベネフィット評価に基づいて化学物質を管理するためのモニタリングと経済評価、ダイオキシン、PCBs、重金属、医薬品、室内汚染物質、及び生態リスク評価・管理等についてケーススタディを行っておられる研究者です。

 

 

◆ミラー博士(Dr.Claudia Miller)考案 QUEESI ◆

化学物質への反応を0から10までで11段階評価する(0=問題なし 5=中程度
10=最悪)

①   ディーゼル排ガス、エンジン排ガス
②   タバコの煙
③   殺虫剤
④   ガソリン(ガソリンスタンドで給油中に漂ってくる臭い)
⑤   塗料 または シンナー 
⑥   掃除用品:消毒剤・漂白剤・浴室用洗剤・床用洗剤 
⑦   特定の香水、芳香剤、合成香料など
⑧   液体タール または アスファルト
⑨   マニキュア、除光液、ヘアスプレー
⑩   新しい家具:新しいカーペット、ビニール製の新しいシャワーカーテン、新車の内装
⑪   上記以外にも暴露すると具合が悪くなる化学物質があればかき出して、11段階評価してください。

 

※ミラー博士(Dr.Claudia Miller)は、 TILT(Toxicant‐Induced Loss of Tolerance: 有害物質が誘発する不耐症)研究者です。ミラー博士が共同執筆した論文はWHO(世界保健機関)のMacedo賞を受賞するなど、この分野における先駆者であり、世界トップクラスの研究者であり、QEESIという問診票の開発者でもあります。

 

医師がおこなった疫学調査によって、化学物質過敏症の有病率は成人の7.5%と判明しているのに、化学物質過敏症の社会的認知度は、極端に低いままです。これは、国民的危機といえるのではないでしょうか。

環境汚染物質と体調不良との相関性に目を向けてもらうためにも、毎年必ず行われる健康診断のときに、こうした質問をとりいれることには、大きな社会的意義があるはずです。

 

公立病院で化学物質過敏症の診断書を発行してほしい

沖縄県議会2023年3月23日の文教厚生委員会では、化学物質や香りで体調不良になったことがある生徒が、県立学校だけでも634名いることをうけて、瀬長美佐雄(せながみさお)県議が、「県内すべての公立病院にて化学物質過敏症の診断書を出せるようにしてほしい」という5つ目の要望について「早急に対応いただきたい」と要求してくれました。

今のところ、「県内すべての公立病院にて化学物質過敏症の診断書を出せるようにしてほしい」という要望は、「標準化された診断基準が確立されていない」として保留されています。

診断基準が確立されていないのは事実ですが、化学物質過敏症の診断書が、国内外で発行されていることもまた事実です。

日本国内では、化学物質過敏症の診断書を発行している病院は数院だけ。化学物質過敏症の実態に即した対応がなされていません。公立病院にて診断書を発行してもらえるようにすることが急務です。

 

 

 

新聞報道

2023年3月23日に開催された、沖縄県議会・文教厚生委員会にて、共産党・瀬長美佐雄(せながみさお)県議が「化学物質過敏症に関する請願」について質問くださり、沖縄県庁・保健体育課が答弁。新聞記事は、そのやりとりをもとに、恐らくは追加取材をしたうえで書かれています。

 

「香りで体調悪化」634人 化学物質過敏症で県立中学校調査 「香りで悩む人いる」県教委が配慮呼びかけ - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト

 

 

記者会見

化学物質過敏症が爆発的に増えていること、国民病レベルであることなど、事態の深刻さを、記者会見を開いて訴えました。

 

 

請願書・陳情書の書き方

地方議会では<請願書><陳情書>の所定フォーム(A4サイズ1枚)が用意されていることが多いです。まずは、地元議会の公式サイト内でフォームを入手ください。用意されていない場合は、他県・他市のフォームを利用するとよいでしょう。

上記、化学物質過敏症・対策情報センターから沖縄県議会に提出した請願書の例では【要旨】のところで化学物質過敏症について概説し、【記】のところで具体的要望を述べています。

請願書や陳情書には、よりくわしい資料や、集めた署名簿を添付することもできます。ないよりはあった方が良いです。ただし、(沖縄県議会の常任委員会を傍聴した限りでは)委員会で審査されるのは、請願書本体だけです。

請願書・陳情書の所定フォーム、A4用紙1枚に、要旨と要望を分かりやすく凝縮することが、勝負どころとなります。

 

 

 

請願書・陳情書の要望を実現させるために

県議会にはたくさんの<陳情書>が提出されます。

数多ある<請願書><陳情書>のなかから、自分の要望を重視してもらうために「追い風」となることをいくつかご紹介します。

①議会質問されたことがある

議会質問されたことがない議案よりも、過去に何回か議会質問されたことがある議案のほうが、重視される、優先順位が高くなる傾向があります。

2021-9-22 沖縄県議会 化学物質過敏症

2019-2-21   那覇市議会 化学物質過敏症

 

②188への相談件数が多い

188 に電話すると地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口が案内されます。

画像:「消費者ホットライン」は188番。全国共通の電話番号。


省庁や地方自治体の情報源は188への相談件数と相談内容

2019年6月14日 衆議院に設置されている「消費者問題に関する特別委員会」にて消費者庁 高島審議官は、188へ寄せられた情報をもとに答弁しておられます。柔軟剤が、使用者ではなく、周囲のひとを苦しめているという情報は、188に電話することによっても、省庁や地方自治体に伝わります。

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体調不良者として188に電話する場合
例) 他人が使う柔軟剤のニオイによって体調が悪くなる
例) 家にいても、近所から柔軟剤集が流れ込んでくるせいで頭痛がおさまらない
例) 知人が、柔軟剤臭によって体調不良になった。香害というらしい。私は今は健康だが、同じように体調不良にならないとも限らない。これを避けるにはどうすればいいか

消費生活上の問題として188に電話する場合
例) 他人が使う柔軟剤のニオイがこちらの衣服に付着すると、洗ってもニオイが消えない。商品設計として非常識すぎないか

③署名簿を添付する

知人友人サークル活動などを通して、請願書の内容を支持する署名を集められるようなら、署名簿を作成して<請願書><陳情書>に添付しましょう。多くの人が問題視していることが伝わります。

 

 

 

味方になってくれる議員を見つけよう!

味方になってくれる議員がいると、困りごとへの行政対応が進みやすくなります。

味方になってくれる議員は、議員リストをもとに、電話相談、メール相談していく過程で出会っていけるはずです。

 


味方になってくれる議員の存在は大きい

①議会質問
化学物質過敏症や香害について、これが公衆衛生上の大きな問題であることを理解してくださった議員は、議会で、代表質問または一般質問してくれます。この<議会質問>によって、事案への行政対応が進んでいきます。



②請願書
請願書提出には「紹介議員」が必要です。議会質問してくれた議員とともに「請願書」を提出することが決まると、要望内容についても色々相談できます。味方になってくれる議員がいてくれると、何かとスムースに物事が進んでいきます。



③常任委員会
味方になってくれる議員が、かかる<請願書><陳情書>を審査する常任委員会のメンバーだと、的確な質問を継続してくれる可能性が高くなります。
一方、味方になってくれる議員が、請願書・陳情書を審査する委員会のメンバーではないことは多々あります。その場合でも、同じ会派や政党の委員会メンバーを紹介してくれるはずです。

 

 

用語解説

★議会質問(ぎかいしつもん)★
議会では、議員は、自治体の担当職員に対して、重要と思われる事案について質問します。質問には、会派を代表して行われる<代表質問>と、議員個人が行う<一般質問>があります。地方自治体は、質問を通して、その事案について調査したり対応したりします。

 

★請願(せいがん)★
国または地方公共団体の機関に対して意見や希望を述べること。地方議会に対する請願は、地方自治法及び各議会の会議規則に規定がされており、請願書の提出には紹介議員が必要です。


★陳情(ちんじょう)★
請願と同じ性格を有していますが、紹介議員を必要としません。議会によって取り扱いが異なります。

 

★常任委員会(じょうにんいいんかい)★
地方議会には、「健康」「教育」「土木工事」などの部門ごとに、いくつかの<常任委員会>が設置されています。常任委員会では、地方公共団体の事務に関する調査、議案の他、<請願書><陳情書>が審査されます。

<請願書><陳情書>の審査は、その議案について議員が質問し、各部門の担当者(例えば教育委員省、保健体育課長 地域保健課長など)が、調査結果や進捗状況について回答するという形をとります。


★参考人招致(さんこうにんしょうち)★
請願書または陳情書を提出した人(以下、提出者)は、常任委員会に<参考人>として呼ばれることがあります。参考人招致の運用方法は、地方議会によって異なります。

イ)提出者は全員、委員会に参考人招致する

ロ)提出者が要望すれば、委員会に参考人招致してもらえる

ハ)常任委員会のメンバーが要望すれば、提出者を参考人招致できる

沖縄県議会は(ハ)です。沖縄県議会には、提出者を参考人招致する習慣はないように見受けられます。

 

★情報公開(じょうほうこうかい)★
・傍聴
地方議会の本会議や常任委員会は傍聴できます。インターネット中継されていることも多いです。
・議事録
常任委員会にて審査された内容は記録され公開されます


例)沖縄県議会 文教厚生委員会記録 令和4年 第 3 回 定例会第 3 号
➢ <化学物質過敏症>で検索すると 翁長雄治県議と新里逸子地域保健課長とのやりとりを確認でいただけます


★意見書(いけんしょ)★
地方議会は、議決に基いて、議会としての意見や希望を「意見書」として内閣総理大臣、国会、関係行政庁に提出できる。
意見書に法的拘束力はないが、住民代表である議会の総意として尊重される。


★意見書提出を求める請願書または陳情書★
住民は、意見書提出を求める請願書または陳情書を、地方議会に提出できる。提出された請願書または陳情書は、常任委員会にて審査され、審査結果は本会議へ報告され、議会としての採択、不採択の決定がなされる。
地方議会の本会議にて採択された場合は、議員発議で意見書を提案し、採択することになる。

 

 

 

真似るべき事例

LGBT団体は、全国のLGBT当事者に、地元の地方議会に「意見書提出を求める請願書(または陳情書)」を提出するように呼び掛けて、着実に成果を上げています。

化学物質過敏症や香害についても、全国の悩める当事者が<請願書><陳情書>を地元の地方議会に提出していくことが、社会的認知度を向上させ、配慮を得やすくするための、賢いやり方なのではないかと思います。

 

 

簡単で効率的な方法を見極める

1)訴訟を起こして戦う

民事訴訟では「損害賠償請求」することが一般的です。まずは弁護士に相談することになります。相談料がかかります。その弁護士に依頼することが決まると、着手金を支払います。出張費など実費は依頼者負担となります。この他に弁護士への報酬金が必要となります。


・相談料 ・着手金 ・出張手当 ・その他実費 ・報酬金

訴訟では、相手企業と、健康被害を引き起こした商品を特定して戦うことになります。訴訟で勝つためには、商品の違法性あるいは健康への有害性を証明する必要があると思われます。

 

・品質表示ラベルから成分の危険有害性を査定する

・香料など、法律上、品質表示ラベルに記載しなくてもよい成分については、相手方企業に開示を求めるか、第三者機関に成分分析してもらう

・商品と体調不良との因果関係を証明する

 

かなりのお金がかかります。

集団訴訟を起こして費用負担するためには、訴訟団の「団長」「事務局長」になる人が必要です。集団訴訟に参加してくれる人を募る、訴訟の経過について説明会を開くなど、弁護士と協力しながら、色々なことに対応していかねばなりません。勝訴した場合でも敗訴した場合でも、費用負担にかかる作業が必要です。勝訴した場合は、賠償金の分配作業を行っていかねばなりません。

 

 

2)法的規制を求める

法的規制を求めるには、その商品を使ったことによって、あるいは身近でその商品が使われたことによって、体調不良が引き起こされたと証明することが求められるはずです。

訴訟する場合と同じように

・品質表示ラベルから成分の危険有害性を査定する

・香料など、法律上、品質表示ラベルに記載しなくてもよい成分については、相手方企業に開示を求めるか、第三者機関に成分分析してもらう

・商品と体調不良との因果関係を証明する

などに取り組む必要があるかと思われます。

 

やはり、かなりのお金がかかります。香害被害者にとっては、負担が大きすぎます。

 

ヒトへの有害性が認められたとしても、それらを規制するまでには、かなりの年月がかかります。

例えば、以下の物質は、危険性が指摘され始めてから、残留性有機汚染物質(POPs)として規制されるまでに、30-40年という年月が費やされています。

 

残留性有機汚染物質(POPs)


わずか数十種類の物質を規制している間に、とてつもない数の化学物質が新たに作られているのが現実です。新しく作られた化学物質は、人体や環境に与える長期的影響については不明のまま、販売され使用されています。


例えば難燃剤。

AAという難燃剤は危険なので規制され、かわりにBBという難燃剤が使われるようになった ➢ 10数年後、BBという難燃剤は、AAという難燃剤よりも危険だったことが判明した

こんないたちごっこが続いています。

 

3)体調不良者への配慮を優先させる

規制ではなく、配慮や啓発を求めるやり方もあります。

「化学物質過敏症に関する請願」は、その好例です。

可視化されてこなかった体調不良者をあぶり出す、体調不良者へ配慮するという意識を高める、などをゴールに設定するほうが、法規制を求めるよりもはるかに簡単です。そのうえ、社会全体に与えるインパクトは大きいです。

体調不良者への配慮が進んでいけば、企業としても、体調不良者に配慮した商品作りにシフトせざるを得なくなっていくはずです。

地方議会に<請願書><陳情書>を提出して、地方自治体の対応を少しずつ変えていくことは可能です。

日本でも海外でも、地方自治体の対応が変わっていくと、国としても無視できなくなり、国をあげての対応が進んでいきます。

LGBT団体は、全国のLGBT当事者に呼びかけて、全国の地方議会に意見書を求める陳情書を提出するという活動を通して、市民権を得ていっています。

化学物質過敏症、香害被害者が、お手本として真似ていくべき事例ではないかと思います。

 

 

全コピー陳情のススメ


化学物質過敏症になって生活が破壊されてしまった、とにかく何とかしたいと思っている方たちには、上記「化学物質過敏症に関する請願」を全コピーして<陳情書>として提出することをおすすめします。

<陳情書>の提出に際しては、紹介議員は必要ありませんし、署名活動やデモ活動は、ないよりはあったほうが良い、という程度です。化学物質過敏症の体調では、味方になってくれる議員を探すのも署名を集めるのも、大変なはずです。体調を悪化させるようなことは、極力避けるべきです。


見本となる文章をコピーするだけでよいなら、<陳情書>の作成には30分もかかりません。陳情書が完成したら、封筒に入れて、地方議会あてに郵送すればよいだけです。

何も難しくはありません。ほんのひと手間です。ぜひ、チャレンジしてみてください。

 

 

気楽に取り組もう!

化学物質過敏症・対策情報センターの代表理事がパーソナリティをつとめる情報ラジオ

fm 那覇 「明るい未来にチェンジ」にて、誰でも簡単に陳情できることを説明しています。

あまり気負わず、気楽に取り組みましょう🍀

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