一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

化学物質過敏症 発症年齢と発症時期 ツイッター(X)アンケート2023年

 

2023年11月11日から18日にかけて、化学物質過敏症を発症した年齢と時期についてツイッターアンケートを行いました。

アンケートにご協力くださった皆様、ありがとうございます。

 

 

学物質過敏症 発症年齢

アンケート時期 2023年11月11-18日
回答数181

 

 

20年くらい前の文献には、化学物質過敏症は中年以降に発症しやすいと書かれていました。アンケートでは、40歳までに発症する人が半数という結果でした。
いつ発症するかわからない、いつ発症しても不思議ではない、という印象を受けます。

 

 

 

学物質過敏症 発症時期

アンケート時期 2023年11月11-18日
回答数119

 

 

ここ5年以内に発症した人は47.9%でした。


成人の有病率は、2015年時点で7.5%とされていましたが、 2023年時点では10%を超えているかもしれません。 その多くが自覚なき患者です。 自分が化学物質過敏症だとは知らず、悪化させている可能性が高いです。

 

 

学物質過敏症の診断基準

アンケート期間中、「化学物質過敏症をいつ発症したか、ハッキリしない」「自覚したのは最近だけど、思い返すと、その前から症状は出ていた」といったご質問を頂戴しました。

体調が悪すぎて、診断書を出してくれる病院までたどり着けない人は、自己判断するしかありません。

化学物質過敏症(MCS)かどうかを判断する基準として、1999年に採択された「化学物質過敏症:コンセンサス1999/Multiple chemical sensitivity: a 1999 consensus」をご紹介します。


シンプルで明確な診断基準なので、自己診断に利用できます。

 

化学物質過敏症:コンセンサス1999

① 慢性の経過をたどる
② 再現性をもって症状が出現する
③ 微量な化学物質に反応を示す
④ 関連性のない多種類の化学物質に反応を示す
⑤ 原因物質の除去で症状は改善される
⑥ 症状は複数の器官、臓器にまたがる

 

以下、”Multiple chemical sensitivity: a 1999 consensus”「化学物質過敏症:コンセンサス1999」という記事の翻訳です。

 

コンセンサス1999

化学物質過敏症(MCS)の定義については、豊富な臨床経験あるいは知見があり、しかし多様な意見を有する89人の臨床医・研究者を対象とした学術的調査(1989年)によって導き出されました。

それから10年の間に、上位5つの基準を否定する論文は発表されていません。

化学物質過敏症(MCS)上位5つの基準

① 慢性の経過をたどる
② 再現性をもって症状が出現する
③ 微量な化学物質に反応を示す
④ 関連性のない多種類の化学物質に反応を示す
⑤ 原因物質の除去で症状は改善される

現在追加を提案している6つ目の基準
⑥症状は複数の器官、臓器にまたがる

を含め、基準はすべて、化学物質過敏症(MCS)の症状を網羅しています。

それにもかかわらず、これらの基準は、臨床現場には採用されないまま放置されています。

アメリカ政府、イギリス政府、カナダ政府によって、湾岸戦争の退役軍人の化学物質過敏症(MCS)発症率は、比較対照群の2〜4倍にのぼることが判明しています。こうした事実に照らし合わせてみても、この診断基準の必要性は高いといえるでしょう。

ニューメキシコ州保健局とカリフォルニア州保健局の調査によって、すでに人口の2〜6%が化学物質過敏症(MCS)と診断されていること、16%の人が、一般的な化学物質に対して「異常な感受性」を訴えていることが示されています。

この有病率の高さに加えて、米国医師会・米国環境保護庁・米国消費者製品安全委員会は、「化学物質過敏症(MCS)の訴えを心因性として却下すべきではありません。精密検査が必要です(1994年)」という共同声明を発表しています。

6つの診断基準が満たされ、他の単一の器質的障害(肥満細胞症など)によっては、化学物質へのばく露による反応や症状すべてを説明できない場合には、化学物質過敏症(MCS)であると公式診断することを推奨します。

化学物質過敏症(MCS)の症状や原因について医学的研究調査が行われていますが、この疾病に苦しむ数百万人の民間人と数万人の湾岸戦争退役軍人には、化学物質過敏症(MCS)の診断基準が策定されるのを待っている余裕はありません。

 

翻訳文責:
一社)化学物質過敏症・対策情報センター
代表理事 上岡みやえ