一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

化学物質過敏症とは

学物質過敏症(MCS)とは

●ごく微量の化学物質に反応して体調不良をおこす
●症状や度合いの個人差が大きい
●推定患者数1000万人

化学物質過敏症は、ごく微量の化学物質に反応して体調不良をおこす疾病です。発症のきっかけや症状、その度合いについて、個人差が大きいことが特徴です。厚生労働省の病名リストに登録されている疾病です。

この病について知る医療従事者は少なく、社会的認知度も低く、発症者の多くは「自覚なき患者」です。不適切な処置により体調を悪化させている人が多いと懸念されています。

化学物質過敏症が悪化すると、学校へ行くことも、働くことも困難になっていきます。肉体的苦痛はもちろんのこと、周囲の無理解による精神的苦痛、生活が破壊されていく恐怖、将来に対する不安感などは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

化学物質過敏症を発症する人は加速度的に増えており、何らかの対策を講じなければ、社会が成り立たなくなってしまう恐れさえあります。


学物質過敏症(MCS)の症状

化学物質過敏症(MCS)の症状は千差万別です。(注1)喘息やアレルギーなど、何らかの疾病を併発している発症者が多いこともわかっています。

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注1)MULTIPLE CHEMICAL SENSITIVITY LITERATURE REVIEW AND STATE OF THE SCIENCE, 2021


定患者数1000万人の危機

医学者らによる疫学調査によって、化学物質不耐症(=化学物質過敏症)の有病率が、成人人口の7.5%であることが判明しています。(注2)

新潟県上越市が2010年7月に行った調査では、市内の小中学生の14,024名のうち1,734名(12.4%)の児童が、化学物質過敏症様の症状を呈していることがわかっています。(注3)

これらの数字を実数に直して足し合わせると、1,000万人以上となるのに対し、化学物質過敏症を診断できる病院は、国内に数院しかありません。

これは緊急事態といわざるをえません。

特に心配なのは、大人よりも子供の発症率が高いという点です。

化学物質過敏症があまり知られていない病であるために、「気のせい」と思われたり「精神疾患」と誤診されることで、症状を悪化させている人は相当数にのぼるとみられます。

この状況を放置し続けると、社会が成り立たなくなってしまう可能性さえあります。

推定患者数1000万人という事実を社会的危機ととらえ、化学物質過敏症を発症しても生きていける社会にしていくことが急務です。


注2)Prevalence and Characteristics of Chemical Intolerance: A Japanese Population-Based Study, Archives of Environmental & Occupational Health, Volume 70, 2015 - Issue 6
注3)「児童・生徒(6~15才)の化学物質過敏症様症状に関するアンケート再調査