一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

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化学物質過敏症と神経性炎症との関係 ③ 翻訳

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神経性炎症が起きていると、化学物質にばく露したときに、化学物質過敏症を発症しやすくなるそうです。

以下、The Role of Neurogenic Inflammation in Chemical Sensitivity 2017年「化学物質過敏症と神経性炎症との関係」の翻訳です。


「化学物質過敏症と神経性炎症との関係 ①」
「化学物質過敏症と神経性炎症との関係 ②」の続きです。

 

翻訳文責:
一社)化学物質過敏症・対策情報センター
代表理事 上岡みやえ

 

 

 

骨格系
関節痛や筋肉痛に悩まされている患者の多くが、特定の食品を摂取することや、化学物質へのばく露によって、発赤、関節炎、筋炎などを起こすことが、臨床検査において判明しています。

神経性炎症と関節炎の関係性は、最近の総説論文にて要約されています。(Krustev et al., 2015; Seidel et al., 2013)

神経性炎症が、化学物質へのばく露によって引き起こされることは、非常に重要なポイントといえるでしょう。


/皮膚
神経性炎症は、皮膚疾患の多くと関係しています。

化学物質過敏症の患者の多くが、食品を含む化学物質へのばく露によって、顔に紅斑あるいは炎症を伴う「酒さ」が出ることに悩んでいます。

神経性炎症が、「酒さ」を引き起こす要因であることは、よく知られています。(Aubdool&Brain., 2011)

接触性皮膚炎は、免疫系と神経系の炎症によって引き起こされる皮膚の炎症です。(Kuhlenbeck&Parrent., 2013)

空中接触皮膚炎は、その名前が示すように、空気中の化学物質への暴露によって引き起こされる皮膚の炎症です。(Kuhlenbeck&Parrent., 2013)

神経性炎症は、アトピー性皮膚炎にも影響を及ぼします。(Misery., 2011)

 

 

経系
神経心理学的な障害には、認知障害、記憶障害、睡眠障害、気分障害が含まれます。

疲労は、神経心理学的な障害と見なすこともできます。

環境化学物質の影響を受けやすい個体が、刺激物質にばく露すると、「精神疲労(Brain Fag)」を起こしやすくなる可能性があります。

片頭痛に苦しんでいる人は、化学物質だけではなく、様々な刺激物質にさらされている可能性があります。

脳が、アレルギー反応と化学反応、両方の標的器官であるとの証拠が増えており、脳神経と化学物質過敏症の関係も見なおされつつあります。(Meggs et al., 2013)

 

 

学物質過敏症と多種類化学物質過敏症(MCS)
化学物質過敏症は、多種類化学物質過敏症(MCS)よりも、適用範囲が広い言葉です。

皮膚に塗った化学物質によって接触性皮膚炎を発症した人は、ディーゼル排気やタバコの副流煙など、呼吸器への刺激物質にさらされたときに発作を起こす喘息患者と同様に、化学物質過敏症であるといえるでしょう。

多種類化学物質過敏症(MCS)は、化学物質にばく露後、複数の臓器系において多様な症状を呈する病態を指します。

化学物質過敏症と多種類化学物質過敏症(MCS)の発症メカニズムは同じなので、重症度によってグループ分けする以外に、両者を区別する方法はありません。

アレルギー患者の中には、複数のアレルゲンに対するアレルギー反応を、気道、胃腸管、皮膚、中枢神経系など、複数の臓器系にまたがって呈する人がいます。そのような病態は、多種類アレルギー感受性症候群(MAS)をいう病名がふさわしいといえるでしょう。

化学物質過敏症をスクリーニングするために設計された研究(Meggs et al., 1996a)では、化学物質過敏症の有病率が、人口の30%に及ぶことがわかりました。

多種類化学物質過敏症(MCS)をスクリーニングするために設計された研究によって判明した有病率よりも高いです。

有病率に差が出るのは、鼻炎や喘息が「刺激物質」へのばく露によって引き起こされた場合、化学物質過敏症としてカウントされるのに対し、多種類化学物質過敏症(MCS)としてはカウントされないためです。

 

マリー

化学物質過敏症は、急性毒性レベルを下回り、大多数の人々が許容できるレベルでの環境化学物質への反応性が高くなる病態です。

化学物質過敏症の標的臓器には、呼吸器系、消化器系、皮膚科、筋骨格系、神経系などがあります。

神経性炎症は、感覚刺激と炎症の両方を引き起こす物質を放出する神経線維上の受容体に結合する化学物質によって誘発される「炎症」です。

個人の感受性を左右する物質のしきい値は非常に変動しやすく、各個体のばく露レベルによっても異なります。 

炎症がおきることによって、反応性のしきい値が低下するようなメカニズムが発動し、組織が作り替えられている可能性があります。

 

 

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