一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

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化学物質過敏症と神経性炎症との関係 ② 翻訳

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神経性炎症が起きていると、化学物質にばく露したときに、化学物質過敏症を発症しやすくなるそうです。

以下、The Role of Neurogenic Inflammation in Chemical Sensitivity2017年「化学物質過敏症と神経性炎症との関係」の和訳です。

「化学物質過敏症と神経性炎症との関係 ①」の続きです。

 

 

翻訳文責:
一社)化学物質過敏症・対策情報センター
代表理事 上岡みやえ

 

 

臓血管系
化学物質過敏症の心臓症状の研究は、呼吸器系ほどには発達していませんが、薬物と食品の食べ合わせによって、急性冠症候群を引き起こした患者がいることが報告されています。(Gázquezet al., 2010)

ヒスタミンの放出によって、冠状動脈の痙攣を誘発する可能性があることも知られています。(Kounis&Zavras., 1991)

化学物質過敏症の患者調査では、健康な対照群よりも心肺障害を訴える率が高いことが判明しました。(Baldwin&Bell、1998)

化学物質過敏症の患者が、化学物質など刺激物質にさらされると、心房細動、上室性頻拍症、心室性期外収縮を起こすことが報告されています。(Rea., 1978)

再発性の血栓性静脈炎が、化学的な刺激物質から誘発されることも判明しています。(Rea et al., 1981)

屋外で心停止状態になることと、周囲の大気汚染との間に相関関係があることも、わかっています。(Kang et al., 2016)

 

 

化器系

化学物質過敏症(MCS)の中には、食べ物や化学物質へのばく露によって、けいれん性腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸症状を引き起こす患者もいます。

胃腸症状の多くは、過敏性腸症候群(IBS)の診断基準を満たしています。

喘息と同様、過敏性腸症候群(IBS)は、化学物質と、感染性のある病原体の両方のばく露によって引き起こされます。

病原体に感染した後、過敏性腸症候群(IBS)を発症するのは、珍しいことではありません。急性胃腸炎の後には、過敏性腸症候群(IBS)を発症しやすくなることが分かっています。(Thabane&Marshall., 2009)

反応性腸管機能不全症候群(RIDS)という病名は、刺激物質のばく露後に過敏性腸症候群(IBS)を発症した患者を示すために導入されたものです。(Lieberman&Craven, 1998)

神経性炎症が、過敏性腸症候群(IBS)を引き起こすメカニズムは、解明済みです。

サブスタンスP、神経性炎症、侵害受容器、および中枢神経系の変調によって、過敏性腸症候群(IBS)を発症することがわかっています。(Hunt&Tougas, 2002; Stasi et al, 2012)

 

マリー

化学物質過敏症は、急性毒性レベルを下回り、大多数の人々が許容できるレベルでの環境化学物質への反応性が高くなる病態です。

化学物質過敏症の症状が発現する臓器には、呼吸器系、消化器系、皮膚科、筋骨格系、神経系などがあります。

神経性炎症は、感覚刺激と炎症の両方を引き起こす物質を放出する神経線維上の受容体に結合する化学物質によって誘発される「炎症」です。

個人の感受性を左右する物質のしきい値は非常に変動しやすく、各個体のばく露レベルによっても異なります。 

炎症がおきることによって、反応性のしきい値が低下するようなメカニズムが発動し、組織が作り替えられている可能性があります。

 

 

 

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