一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

土壌菌プロジェクト 佐々木淳氏インタビュー②

左:バイオスフィア研究所・所長 佐々木淳氏
右:インタビュアー 一社)化学物質過敏症・対策情報センター 代表理事 上岡みやえ


バイオスフィア研究所・所長 佐々木淳さんにインタビューさせていただきました!


ビ養殖プロジェクト

土壌菌をつかったエビ養殖プロジェクトについて教えてください。

 

ブラックタイガーなど、養殖エビは通常、薬漬けで作られます。

まず川の水を消毒しますし、エサにも抗生物質がたくさん使われています。危険極まりないエビになっています。

タイのエビ養殖池では、エビを収穫したあとの池の水が、ものすごくヘドロ臭いんです。この水は、養殖池の外に捨てているそうなんですが、そのためにマングローブが絶滅しかかっています。

そこで、タイ政府は、薬剤を使用しないように指導したんですが、エビがうまく育たなくなってしまったので、結局は薬漬け養殖に戻ってしまいました。

エビ養殖の実態はこんな感じなんですが、ベトナムで、土壌菌などの微生物をいかした養殖をやってみようというプロジェクトが立ち上がり、今、取り組んでいるところです。

土壌菌を与えて育てたエビは、生食することができます。

ベトナムにはエビを生で食べる文化はないですし、普通は、養殖エビを生で食べようなんて思いませんけどね(笑)。

僕たちのエビは、甘エビかと思うくらい甘くて美味しいです。僕は日本人だから、醤油とワサビ持ってって生で食べちゃってます。

通常の、薬漬けの養殖池の底にたまっている泥は、ヘドロになってて臭いんですが、菌を与えている養殖池の泥は、臭くないです。

要するに、微生物がたくさんいる、ちゃんとした環境は、臭くないんです。

 

微生物が分解してくれるってことですか?

 

そういうことですね。

菌などの微生物は、エビのウンチとか食べかすなどの有機物を分解して、ミネラルに変えていきます。

ミネラルは植物の栄養になるから、植物が元気に育つんです。この養殖池のほとりに植えたマングローブは、元気に育ってます。

 

佐々木さんが開発した「微生物資材」を投入した養殖池では、エビが生食できるほど美味しく育ち、底の泥が臭くなくなり、養殖池のまわりの植物が元気になっていくわけですね。

 

はい、そうです。

 

これはもう、地球を救うレベルの話になってますね!すごいことですね!

 

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パール土壌改良プロジェクト

ネパールでスタートされたという、土壌改良プロジェクトについて教えてください。

 

2年位前に、ネパールが王制から議会制に変わったときに、国のトップの人と話す機会がありまして。

ネパールは貧しい国ですから、外国から支援物資が届くそうなんです。支援物資の中には農薬と化学肥料が入っていて、1年間の支援が終わると「来年からは買ってくださいね」と。

それで農薬と化学肥料を使うようになったら、使用量に比例して、病人が増えていったそうなんです。

それで「農薬や化学肥料を使ったことと、病人が増えたこととの間には因果関係があるように思う。日本の技術で何とかならないか」と相談されたんです。

実は、(僕たちの仕事は)日本国内ではまだ認知されていないんですが(苦笑)、とにかくネパールに微生物肥料を導入しようということになって、現地に肥料工場を作りました。これから稼働するところです。

現地の人は貧しいけど、この微生物肥料を購入するときには、国から補助金が出ることになりました。

有機野菜を育てるための肥料ということで。

 

このお話は、国のトップの人と進めたということですから、かなり大規模な、国家プロジェクト的なものなんでしょうか?

 

はい、そうです。

 

農薬と化学肥料の使用量が増えると病人が増えるという話は、日本も無関係ではないと思うわけですが、日本の技術が、日本より先にネパールに導入されてしまったのは、ちょっと悔しいですね。

 

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