一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

微生物の多様性は陸上生態系の多機能性を促進する

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生物について知ることの重要性


皮膚常在菌、腸内細菌、腸内フローラなど、人間の皮膚や腸内に共生している微生物の集団「微生物叢(びせいぶつそう)」が、人間の健康を大きく左右していることがわかってきました。

以下、花粉症・うつ病、共生細菌の減少が原因? 山極寿一氏 からの引用です。

 

食中毒を引き起こすサルモネラ菌をはじめとして、数々の感染症を引き起こす細菌は、根絶すべき対象と考えられてきた。 衛生意識と予防医療は、細菌との闘いによって作られてきたといっても過言ではない。

 

細菌による感染症はほぼ消滅した。かわりにアトピー性皮膚炎、花粉症、小麦アレルギー、1型糖尿病など、人の免疫系に関する病気や胃腸疾患が、うつ病、強迫性障害などの心の病も蔓延している。

 

それらは環境汚染や社会不安が増加したせいだと考えられてきたが、 実は抗生物質や抗菌剤などの過度な使用により、 共生細菌が減ったり、 バランスを崩したりしたことも原因だという証拠が次々に発見されている。

 

京都大学総長・山極寿一氏


微生物についての知見なしには、私たちの健康をどのように維持すべきかについて考えられない時代になってきています。


 

報タイムラグ

微生物研究は、コンピュータ解析技術が向上して以降、特に21世紀にはいってから、飛躍的に進んでいます。

しかしながら、学術的研究が進んだとしても、その情報が世間一般に共有され、広く認知されるまでには、かなりの年月がかかります。

学術論文の多くは英語で書かれるため、日本人にとっては、さらなる「情報タイムラグ」が生まれやすくなっています。

このタイムラグを解消すべく、良質と思われる論文については、このブログにて、出来る限りご紹介していきたいと考えています。

本日は、

微生物の多様性は地上生態系の多機能性を促進する

Microbial diversity drives multifunctionality in terrestrial ecosystems

 

という論文の、要約と結論の和訳を作成いたしました。
論文のトピックは、土中に生息している微生物叢(びせいぶつそう)です。



微生物叢(びせいぶつそう)*は、人間の利益および生態系サービス**にとって重要であるが、地球規模での、微生物の多様性と、生態系サービス及び機能(つまり多機能性)との関係は、まだ評価されていない。


ここでは、対照的な地理的範囲を有する、2つの独立した大規模なデータベース(地球上の78の乾燥地と、スコットランド全土の179の場所)を使用し、土壌微生物の多様性が陸上生態系の多機能性に正に関連していることを報告する。


微生物の多様性の直接的なプラスの効果は、複数の多機能的な推進要因(気候、土壌の非生物的要因、空間的予測因子)を同時に考慮しても維持された。

我々の調査によって、微生物の多様性が失われると多機能性が低下すること、気候調整、土壌の肥沃度、陸生生態系を利用した食物生産と繊維生産に悪影響を与える可能性があることが実証された。


*微生物叢(びせいぶつそう)とは、共通の生活空間を共有する微生物のグループである。コミュニティを形成する微生物集団は、たとえば捕食者と獲物として、または共生生物として、さまざまな方法で相互作用している。

**生態系サービス(Ecosystem services)とは、自然の生態系が人間に提供しうる利点と機能である。それらには、食料ときれいな水の供給、作物の受粉、気候調整、エコツーリズムも含まれる。

 

全体として、我々の発見は、植物や動物で発見されたものと同様に、微生物の多様性が陸上生態系の多機能性を維持するために重要であることを力強く実証するものとなった。

生物多様性のパターンや、微生物、生態系の機能を理解しようとする科学者、政策立案者、教育者、組織へのメッセージは明確である。

「生態系の多機能性と、生態系サービスの割合は、人間の活動と気候変動によって微生物の多様性が失われることにより、低下する」

微生物の「多様性」と「多機能性」の関係を実証する研究は、微生物のコミュニティにおける、生物多様性や生態系の機能性に関する研究を前進させる鍵となる。


本研究によって、次世代のために陸上生態系の多機能性を守らねばならないこと、土地利用、窒素濃縮、気候変動などの地球環境要因から土壌微生物の多様性を保護するための方法や政策を開発することの必要性が理解されるであろう。

 

 

原文はこちら↓↓↓  

www.ncbi.nlm.nih.gov