一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

難燃剤の概要

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燃剤とは

難燃剤は、建材、家具、カーテン、カーペット、家電、電子機器を燃えにくくするために添加される物質です。難燃剤には、「臭素系」「リン系」「水酸化アルミニウム」「塩素系」などの種類があります。

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            出典:難燃学入門フォーラム
 

素系難燃剤

臭素系難燃剤は、家電製品、自動車、建材等の構成材料であるプラスチック、ゴム、木材、繊維等を燃えにくく(難燃化)することを目的として用いられる物質です。

主な臭素系難燃剤の一つであるポリ臭素化ジフェニルエーテル類(PBDEs)には、200を超える異性体が存在しますが、工業的に使用されてきたPBDEsはデカBDE(10臭素化物)、オクタBDE(8臭素化物)、ペンタBDE(5臭素化物)の3種類です。

PBDEs(特にペンタBDE)は化学的に極めて安定で分解されにくく、また疎水性が高いため、その生物濃縮性が問題となっており、構造や性質の類似性から「新たなポリ塩化ビフェニル(PCBs)」と呼ばれることもあります。

スウェーデンの研究者が、PBDEsがヒト母乳中に存在することを発見して以来、難燃剤の健康影響や環境動態に注目が集まるようになりました。スウェーデンの調査では、母乳中のPBDEsのレベルは1972年から1997年の間に60倍に増加(以降減少傾向)しました。

その後、北米で行われた母乳中のPBDEs濃度調査では、スウェーデンで観察された濃度の10~100倍にも達していることが判明しました。

日本では、関連業界の自主規制により、特に蓄積性の高いペンタBDEは1991年以降使用されていません。それでもなお、臭素系難燃剤は、日本市場の3割近いシェアを占めています。

人体への主要な暴露経路として、PBDEsに汚染された食品や、ハウスダストからの摂取が挙げられます。



機リン系難燃剤

近年の難燃剤市場は、RoHS規制やWEEE規制等により、臭素系難燃剤から有機リン系難燃剤に移行しています。

日本では、業界の自主規制によって臭素系難燃剤から有機リン系難燃剤への移行が進んでおり、これからも、有機リン系難燃剤の使用量増加が見込まれています。

日本難燃剤協会によると、リン系難燃剤では「芳香族縮合リン酸エステル」と「赤リン系」が多く使われているようです。

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        出典:日本難燃剤協会 リン系難燃剤の種類

芳香族縮合リン酸エステルは、公開されている安全データシートを見ると、No Data Available(データがない)という項目が多く、危険なのか安全なのかハッキリしない物質です。

 


GHS情報を確認すると、

トリス‐ジクロロプロピルホスフェートは、腎臓や精巣に悪影響を及ぼす可能性があります。
トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートは、CAS番号13674-84-5から確認するとトリス(1-クロロ-2-プロピル)=ホスファートとして下記の危険性が確認できました。

・飲み込むと有害
・眠気又はめまいのおそれ
・生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
・中枢神経系の障害のおそれ
・長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、甲状腺の障害のおそれ

赤リンは、単体では健康に悪影響のない物質です。

 


酸化アルミニウム
水酸化アルミニウムは、プラスチックの難燃剤、不燃紙の充填などに用いられています。

水酸化アルミニウムは200~350℃で激しく脱水分解し、その際に熱を吸収するため、水酸化アルミニウムをゴムやプラスチックに充填すると、加熱されてもその温度上昇が抑えられます。自己消火性を促し、発煙を抑制し、有毒ガスも発生しないことから、難燃材として優れています。

企業の安全データシートを確認すると、水酸化アルミニウムは、健康に悪影響のない物質です。

 

 

【参考資料】

日本難燃剤協会

日本薬学会 臭素系難燃剤について

巴工業株式会社 水酸化アルミニウム