一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

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カナダ労働安全衛生センター 職場の無香化にむけて(翻訳)

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以下、カナダ労働安全衛生センター 職場の無香化に向けて Canadian Centre of Occupational Health and Safety,  Scent-Free Policy for Workplace の翻訳です。

 

職場の無香化にむけて

 

 

無香とはどういう意味ですか?

一般に、芳香剤、化粧品(香水、化粧品、シャンプー、デオドラントなど)、洗剤などに配合されている香料が「香り」と呼ばれています。

「無香 scent-free」「無香料 fragrance-free」「無臭 unscented」などの表現については、正確な定義はありません。

無香料と表示されている製品であっても、実際には他の成分のニオイを覆い隠すために、香料成分が配合されている場合があります。

ただし、商品には説明書を添付することが求められます。

 

においや香り

原料の配合変更によって香りを追加または変更した場合、「フレッシュな香り」「フローラルな香り」「レモンの香り」など、結果として生じる香りについて表示してもよい。
「香料無添加 fragrance-free」「無臭 unscented」という表現は、製品が無香またはほぼ無香であり、臭気のマスキング成分として香料が添加されていない場合には使ってもよい。
製品に臭気のマスキング成分が含まれている場合は、「除臭 de-scented」と表示することができる。

(出典:規制指令DIR2013-02 カナダ保健省)

 

留意すべきは、香りに関する表現は、メーカーごとに異なり、統一されていないという点です。また、これらの表現は、製品を選択する際の、選択肢のひとつにすぎないという可能性があります。

 


香りは健康上の問題を引き起こす可能性がありますか?

香料製品の成分や、化学物質へのばく露が、ヒトの​​健康に悪影響を及ぼしているという訴えには、通常、以下の症状の一部、あるいはすべてが含まれています。

頭痛
めまい
立ちくらみ
吐き気
倦怠感
弱点
不眠症
しびれ
上気道症状
呼吸困難
皮膚刺激性
沈滞
錯乱
集中できない


これらの症状の度合いはさまざまです。

健康被害を訴える人のなかには、症状の軽い人もいれば、身体障害者となった人もいます。香料製品にばく露してしまうため公共の場所には出かけられないなど、日常的な行動が制限されるようになります。

結果として、うつ病になったり、不安感を訴えるようになる人もいます。

一連の症状は、環境過敏症として知られています。

環境過敏症(ES)は、ほとんどの人が許容できる低レベルの化学物質や、他の環境因子にばく露したときに症状が現れる慢性疾患です。症状の度合いは、軽度から重度までさまざまです。

環境過敏症(ES)は、化学物質過敏症、環境過敏症、環境病、毒物による耐性喪失、特発性環境不耐性などとも呼ばれています。

 (ウィメンズカレッジ病院)

 

たとえ少量であっても、香料製品や化学物質へばく露することが、喘息やアレルギー、あるいは色素性蕁麻疹など、何らかの症状を引き起こすきっかけになる場合があります。深刻な健康被害がもたらされる可能性もあります。

 

どんな製品が環境過敏症と関連していますか?

すべての製品または化学物質には、環境過敏症を引き起こす可能性があります。

 

環境汚染物質に敏感な人は、食品、化学物質、または環境因子に対して、単独あるいは組み合わせによって、健康被害を被る可能性があります。環境過敏症には、香水、建築資材。洗剤、ほこりなど、特定のアレルゲンに対する副反応が含まれます。
 (カナダ 公共サービス委員会)

 

本サイトは、香料製品への過敏症について述べています。環境過敏症について理解を深めるには、下記情報をお役立てください。

室内空気質-一般
室内空気質-カビと菌類

職場における環境過敏症問題には、考えられる原因すべてに対処するようにしてください。 

 

 どのような種類の製品に香りが含まれていますか?

香りを作るために配合される成分や化学物質は、多種多様な製品に含まれています。


(以下のリストがすべてではありません。下記以外の製品によって反応が起きる可能性もあります。)

 

シャンプー
コンディショナー
ヘアスプレー
デオドラント
ケルンとアフターシェーブローション
フレグランスと香水
ローションとクリーム
ポプリ
工業用および家庭用化学薬品
石鹸、洗剤、柔軟仕上げ剤
化粧品
芳香剤および脱臭剤
オイル
キャンドル
おむつ
ゴミ袋の種類

「無香」であることを強調する製品のなかには、ニオイ成分をマスキングするために追加の化学物質を使用することによってのみ香りをマスキングした可能性があることを忘れないでください。

過敏な人の近くで、香料が配合されている製品を使用する場合は、成分を注意深く調べてください。

以下の物質にばく露した場合には、香料以外の物質によって、環境過敏症を発症することが報告されています。

揮発性有機化合物(例:ガソリン、接着剤、塗料、溶剤、洗剤など)
車両の排気ガス
農薬
花粉
カビ

 


発がん性のある香料があるというのは本当ですか?

配合の仕方にもよりますが、香料や、香料配合商品には、職場の模型や動物実験を通してガンを引き起こすことが判明している化学物質が、含まれている可能性があります。

OSH Answersドキュメント 「化学物質を有毒にするものは何ですか?」 に、化学物質の体への影響についての詳細情報を掲載しています。

 

 

製品や化粧品の表示ルールはありますか?

現在の品質表示ルールのもとでは、必要な情報すべてを得られない場合があります。

例えば、食料品店や金物店で、一般消費者向けに販売されている洗剤や芳香剤などには、消費者向けの品質表示が必要です。

これらの品質表示では、腐食(皮膚/目への火傷)、爆発、火災、毒性などの差し迫った危険だけが強調されます。特定の成分のみが包装容器または製品本体に記載されます。製品に配合されている成分すべてを知るには、製造元に直接問い合わせねばならない場合もあります。

化粧品については、カナダ保健省の法律によって、包装容器に品質表示することが定められています。

これらの品質表示には、国際命名法に基づく化粧品成分が、すべて開示されます。

化粧品を選ぶときに必要となる情報が、消費者に提供されています。

 

 

カナダには環境への配慮を義務づける法律がありますか?

あります。

宿泊施設は、連邦および州の人権法の下に、環境への配慮が義務づけられています。詳細については、最寄りの  human rights commission 人権委員会」にお問い合わせください。

雇用主は、個人差があることをわきまえて、これらの概念を、職場の基準または方針に、可能な限り積極的に組み込む必要があります。

 


「職場の無香化」を実施する場合、どのような手順を踏む必要がありますか?

その他の職場の環境対策とともに、以下のように取り組んでください。

 

・問題の範囲を判断するために、従業員アンケートまたは従業員調査を実施します。意見や提案を同時進行的に収集して、それぞれの職場に適した「職場の無香化」策を文書化するのに役立ててください。
(従業員調査のサンプルを最後に提示しています。)


・「職場の無香化」を策定する責任者を一人任命するか、あるいは、すべてのグループ(従業員、組合、経営陣)を代表するメンバーで構成される委員会を作ります。


・安全衛生委員会または労働者代表に参加してもらったうえで、初期段階で、経営陣にも参加してもらいましょう。


・「職場の無香化」の実施要項を文書化し、中身を検討し、実施時期を設定し、実行していきます。


・従業員を教育しましょう。パンフレットやチラシを給与封筒に入れたり、会社のニュースレターに記事を掲載したり、プレゼンテーションを行ったりします。従業員教育の目標は、香りによって健康被害をうける懸念があることと、「職場の無香化」が必要な理由を、従業員全員に通達することです。


・従業員全員に「職場の無香化」について十分に通知し、無香化が実施される前に、すべきことが理解されているかを確認してください。


・従業員の間からもちあがる、率直かつ正直な懸念に対処しましょう。この方針は、単に特定の香りが嫌いだからではなく、医学的な観点から実施されている点を強調してください。


・「職場の無香化」がすべての人(訪問者、患者などを含む)に適用されることを明確にします。


・「職場の無香化」を成功させるには、全員の協力が不可欠であることを強調しましょう。香りをまとっている人に求められる行動を、周知させてください。
(例:洗う。無香料の布巾でふきとる。着替える。別室にとどまるなど)


・現地の法律の中に、「職場の無香化」をサポートするような法律があれば利用しましょう。


・「職場の無香化」では、香料製品を香水やコロンに限定しないでください。上述の通り、建築材料、掃除用品、パーソナルケア製品などの多くに、香料や有害化学物質が含まれています。


・「職場の無香化」によって承認された無香料製品のリストと、それらが入手できる店舗を提示してください。


・現在使用されている製品と、使用を検討している製品の、すべての安全データシート(SDS)を確認してください。成分が許容できるかどうかを確認してください。無香であると主張している製品の中には、何らかの化学物質を添加して臭いを押さえているものがあることを忘れないで下さい。

・大量購入する前に、限られた場所で試用してみてください。

・工事、改造、ワックスがけ、洗浄、塗装、スプレー等は、実施する一週間前に告知しましょう。作業の影響を受ける従業員に、何らかの対応や、業務の調整をする猶予を与えるためです。


・(宿泊業では)「無香化」が実施されているという「告知文」を、予約カード、文房具、宿泊予約通知、雇用通知書などに記載しましょう。


・「無香(Scent-Free)」を示す標識やポスターを作り、掲示場所を決定します。


・「職場の無香化」の実施要項は見直されていくこと、経験や新しい知見をもとに変更される可能性があることを、従業員全員に周知徹底させてください。

 


文例はありますか?

「職場の無香化」は、従業員の健康を守るという理念に根差していなければなりません。「職場の無香化」は、会社全体に、一律に実施します。

 

「職場の無香化」(文例)


目的:
ABC Company Inc.は、香料製品へのばく露によって、健康被害を受ける可能性があることから、すべての従業員と訪問者に無香環境を提供するために「職場の無香化」を実施することにしました。

定義:
建物内では、香料製品を使用できません。洗剤なども無香料のものを使います。地域で入手可能な無香料製品のリストは、安全衛生事務所から入手できます。

手順:
従業員には、建物内に掲示された標識、マニュアル、販促資料などを通じて「職場の無香化」策を示し、オリエンテーションとトレーニングも受けてもらいます。訪問者は、標識を通じて「職場の無香化」が実施されていることを知らされ、接遇者による説明も受けます。「職場の無香化」は、2018年1月1日に発効します。

 


告知文について

「職場の無効化」を実施しているという告知文は、会社の建物の入り口近くに掲示する必要があります。また、多くの来場者がいる場合は、名刺、レターヘッド、販促資料などへの記載が役立つ場合があります。

 

以下は文例です。

 

ABC Companyの従業員の中には、化学物質や香料製品に反応する環境過敏症に悩む者がいます。

彼らの健康に対するご配慮とご協力をお願い申し上げます。

ABC Companyは、健康被害を防止すべく、「職場の無効化」策を作りました。

ヘアスプレー、香水、デオドラントなどの香料製品は、呼吸困難や頭痛などを引き起こす可能性があります。

従業員ならびに弊社を訪問くださった方々には、本建物内では、香料製品を使用しないことが求められます。

ABCCompanyは、無香の空間。勤務中は、香料製品の使用をお控えください。

 

 


従業員への聞き取り調査はどのようにすればよいですか?

 

従業員調査の文例です。

 

・香りのする製品の影響を受けたことはありますか?

   もしそうなら、どのように。


・当社は、従業員に香りの使用を減らすように促すプログラムを提供すべきだと思いますか?

  (はい・いいえ)

 

・私たちの会社を、どのようにして無香にしていけばよいと思いますか?

   香りの強い製品から無香製品または微香製品に変更する

   香料製品が原因となりうる健康被害について、従業員向けの説明会
   をひらく

   その他、具体的に


・職場に到着する前に、シャンプー、石鹸、ハンドローション、香水、コロン、ヘアスプレー、デオドラントなどの香りのする製品を使用していますか?

  (はい、いいえ、わかりません)

 

・ABC Companyの「職場の無香化」を受け入れますか?

  (はい・いいえ)

 

・「職場の無香化」を受け入れたくない場合は、その理由を説明してください。


・他に意見はありますか?

 


「職場の無香化」以外の方法はありますか?

可能であれば、香料の発生源を特定するようにしてください。建材や洗剤などからの排出される化学物質も削減しましょう。

良好な室内空気質を維持してください。

新鮮な空気に換気されていること、香りが建物内を循環していないことを確認しましょう。

場合によっては、香料製品を使い続けたり、まとったりしている人に、働きかける必要があるかもしれません。

こうした働きかけは、人事部、上司、経営陣、組合を通して、あるいは組織内ルールにのっとって行われることになるでしょう。

香料製品を使い続けたり、香水をつけ続けている人に、被害を被っている本人が働きかける必要はありません。

被害者を特定することは、他の人権問題と同様に、不要です。

 

(サイト最終更新日:2019年1月4日 カナダ労働安全衛生センター)

 

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