一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

化学物質過敏症 最高難易度の重症患者が劇症化

f:id:detox-advisor:20181129164949j:plain

 
2019年5月23日。

8年前に、化学物質過敏症「最高難易度の重症」と診断され、車いす生活をしていたこともある女性、Kさんから連絡を頂戴しました。

Kさんは、ここ1~2年は小康状態を保てていたものの、昨週から劇症化してご自宅にいられなくなりホテルに避難。酸素吸入やホテル滞在費用に1日7万円かかるため、いられる場所を探して東京から沖縄に移動してこられたそうです。

沖縄は、観光客が増えるばかりの観光地。人口密度が高く、交通渋滞しやすく、排ガス汚染が酷いです。Kさんの滞在先の名護市のコンドミニアムは、東京にいるよりはマシだけれども、時間帯や風向きによっては具合いが悪くなってしまうそうです。
 
そのような状態であるにも関わらず、こうして沖縄まで来たので、化学物質過敏症について情報交換するために会いたいとのお申し出がありました。

当センターは、排ガス汚染のひどい那覇市の中心部に位置しており、周囲では大小様々な建設工事が行われています。

お目にかかることのリスクが高いためお断りするつもりでしたが、「どうしても会いたい、自己責任で行く」とおっしゃってくださったので、拙宅にお招きすること。

2019年5月25日。
 
名護市から2時間かけてのタクシー移動。建物入口で待ち合わせて、先に荷物を運びこみました。

ご本人が自力で歩けるのは、わずか30秒。杖をつきながら、よろけながら、最大の難所であるエレベータを耐えて拙宅に到着なさいました。

Kさんは、拙宅に入った瞬間に、外気との空気の違いを感じ取れたそうです。

「外はあんなに空気が悪いのに、ここならマスク外しても大丈夫!」と、三枚重ねしていた活性炭マスクを外されました。

室内ではよろけることなく、自由に歩き回っておられます。

宮田先生に最高難易度の重症と診断されて以来8年。劇症化して苦しんでおられる最中のKさんでも、拙宅ではマスクなしに過ごせること、杖なしで自由に歩き回れることに、安堵しました。
 

f:id:detox-advisor:20190326162109j:plain


Kさんは、「近隣で大小さまざまな工事が行われている、劣悪な環境なのに、部屋の空気がOKであることが信じられない。しかも、室内には合板家具も置かれている」と驚かれています。

拙宅の脇には喫煙スポットがあり、ベランダには常に柔軟剤臭が漂ってきます。古いマンションのため気密性は低く隙間風が入り込んできます。合板家具も使っています。

ただし、室内の空気にも、合板家具にも、対策を施しています。

Kさんがもっとも苦手とするのは、洗濯洗剤・柔軟剤、タバコ、排ガス、農薬。

Kさんは、1時間に1回くらい「今、タバコきた」「今、洗濯きた」と言って、時々つらそうになさっていましたが、マスクをつけるほどではなく、1-2分後には回復されていました。

話が長引いたため、食事やおやつをお出ししたところ、完食されました。舌はしびれなかったそうです。

Kさんは、無農薬野菜のサラダを食べても、舌がしびれてしまうことが多いのだとか。

無農薬栽培された野菜であっても、近隣の農薬散布の影響を受けざるを得ないのが実情です。

拙宅では、無農薬野菜に下処理を施して軽く発酵させているため、Kさんでも舌がしびれずに食べられるレベルになっているようです。

夜間には近隣の工事が終了していることもあり、帰りのタクシーまでは、杖なしで、しかもスタスタとかなりの速足で歩かれていたことに驚きました。

街中の空気の悪いところに位置する、ごく普通のマンションであっても、対策を施せば、化学物質過敏症、最高難易度の重症患者が劇症化したときでもマスクなしで過ごせて、自由に歩き回れるという事実に、安堵いたしました。

諸々の対策情報については、化学者の監修を受けたのち、リリースする予定です。