平成28年度、PRTR制度によって算出された、事業者による環境中への排出量が多かった化学物質トップ5です。
・トルエン
・キシレン
・エチルベンゼン
・ポリ(オキシエチレン)= アルキルエーテル
・ノルマルヘキサン
1位 トルエン
【主な用途】
染料、香料、火薬(TNT)、有機顔料、合成クレゾール、甘味料、漂白剤、TDI、テレフタル酸、合成繊維、可塑剤などの合成原料、ベンゼン原料、キシレン原料、石油精製、医薬品、塗料・インキ溶剤等
【有害性】
・トルエンを長期間にわたって体内に取り込んだ結果、 視野狭さく、眼のふるえ、運動障害、記憶障害などの神経系の障害のほか、腎臓、肝臓や血液への障害が報告されています。
・トルエンはシックハウス症候群 との関連性が疑われていることから、室内空気濃度の 指針値が定められています。
2位 キシレン
【主な用途】
異性体分離によりo-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、脱メチルによりベンゼン、合成原料として染料、有機顔料、香料、可塑剤、医薬品、溶剤として塗料、農薬、医薬品など一般溶剤、石油精製溶剤
【有害性】
・高濃度のキシレンは、眼やのどなどに対する刺激性 や、中枢神経へ影響を与えることが報告されています。
・シックハウス症候群との関連が疑われていることから、室内空気濃度の指針値が定められています。
3位 エチルベンゼン
【主な用途】
スチレン単量体の中間原料、有機合成、溶剤、希釈剤
【有害性】
・エチルベンゼンは、シックハウス症候群との関連性が疑われていることから、室内空気濃度の指針値が定め られています。
4位 ポリ(オキシエチレン)= アルキルエーテル
(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びそ の混合物に限る)
【主な用途】
台所用洗剤、洗濯用洗剤、工業用洗剤、化粧品 のクリームやローションの乳化剤、農薬の補助剤、医薬品の乳化剤や分散剤
【有害性】
・人の皮膚に対して刺激性はないか、あってもごく弱い 一時的な刺激性がありますが、湿疹患者に対しては皮膚への感作性を示す可能性があります。
・現時点では、 食物や飲み物を通じて口から取り込んだ場合につい て、人の健康に悪影響を及ぼすことはないと考えられていますが、皮膚からの経路については、情報の収集が必要であるとされています。
5位 ノルマルヘキサン
【主な用途】
高密度ポリエチレンや ポリプロピレンの重合溶剤、接着剤、塗料やインキなどの溶剤、ガソリンの成分
【有害性】
・雌のラットにノルマルヘキサンを含む空気を一定期間吸入させた実験では、胎児の体重低下が認められました。
・作業環境における疫学調査では、一定期間空気中から吸入した結果、頭痛、四肢知覚異常、筋力低下などが報告されています。
全国の届出排出量・届出外排出量
環境省では、事業者から届け出られた排出量の433物質と、届出の対象とはならない事業者や家庭、自動車などからの排出量として国が推計した320物質について、それぞれの物質毎に排出量を足し合わせ、全国で1年間に環境中に排出された総排出量を計算しています。