一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

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腸内細菌の世界 Vol.1


🔴腸内細菌の世界🔴


近年の研究を通して、私たちの生命や健康に、腸内細菌が深く関わっていることが、次々と明らかになっています。本記事では、腸内細菌とは何かについてを解説していきます。

 

🔵腸内細菌とは
腸内細菌とは、私たちの腸に棲んでいる細菌だけでなく、ウイルスや真菌(カビ)、古細菌などを含む微生物の集まりです。

これらの微生物は、私たちの細胞や内臓と協力しあいながら働いています。ただし役割は同じではありません。

腸内細菌は、
✅私たちの細胞や内臓にはできない仕事を担っている
✅食べ物を分解して利用可能な形に変えている
✅生命維持と健康維持に必要な物質を生み出している
✅免疫の働きを整えている

腸内細菌が担っている役割が大きいことから、腸内細菌は「見えない内臓」と形容されるようになっています。

 

🔵腸は微生物たちの楽園
腸内は、温かく、適度な湿り気があり、食べ物が定期的に補給される環境です。この条件がそろった腸は、微生物にとって非常に活動しやすい場所であり、「微生物の楽園」と称されることがあります。

「微生物の楽園」である腸内では、多種多様な微生物たちが活発に働き、互いに影響しあいながら生態系をつくっています。

腸内細菌の数や種類が豊かなほど腸内環境は良好になり、私たちの健康状態にも良い影響があることがわかってきています。

現代的な生活は、腸内細菌の数や種類を減らす方向に作用するため、暮らし方を見直していくことも大切です。

 


🔴腸内細菌の世界🔴
腸内細菌と食べ物の深い関係

🔵人の体だけでは、食べ物を消化できない

たんぱく質や脂質、糖質は、人の体が分泌する消化酵素によって分解されます。

しかし、その消化酵素が、腸内細菌の関与なしには体内生産できないことは、あまり知られていないのではないでしょうか?

そう。実は、食べ物は、人の体だけでは消化できないのです。食べ物は、人の体と腸内細菌が協力しあう過程で、消化されていくものなのです。

 

🔵栄養は「腸内細菌を通して」作られ利用される

腸内細菌は、食べ物から栄養を吸収する場面においても、大きな役割を果たしています。

腸内細菌は

✅食べ物からビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養分を取り出す
✅取り出した栄養分を吸収する

ことに、大きくかかわっています。

ビタミンやミネラル、アミノ酸の中には、体内で生成されるものもあります。その生成過程にも、腸内細菌は大きな役割を果たしています。

つまり、食べ物を口に運ぶのは人であっても、それを体内で使える形にするには、腸内細菌の力が必要なのです。

 

🔵腸内細菌と食物繊維

実は、人の消化酵素では、食物繊維を分解できません。その代わりに、大腸に生息する腸内細菌が、人の体にはできない「食物繊維の分解」をしてくれています。

食物繊維は、腸内細菌によって分解され発酵し、その過程で「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」と呼ばれる物質が作り出されます。

この短鎖脂肪酸によって、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸の筋肉を動かして、食べ物や便を肛門にむけて送り出す運動)が促されるほか、腸内環境が弱酸性に保たれ、腸内細菌のバランスが整えられます。

つまり、腸の健康を維持するには、大腸に多種多様な腸内細菌が生息していることと、腸内細菌のエネルギー源である食物繊維をしっかり摂ることの、両方が必要なんです。

 

🔴腸内細菌の世界🔴

腸内細菌と免疫の深い関係

🔵免疫とは

免疫とは、ウイルスや細菌などの異物から体を守るための、防御システムのことです。この免疫は、大きく分けて次の2段階で機能しています。

✅ 自然免疫:生まれつき備わっている、体の初動防御
✅ 獲得免疫:病原体を記憶し、次に備える高度な防御

私たちの体は、この2つの免疫を使い分けながら、日々さまざまな刺激に対応しています。

🔵免疫の多くは、腸と関わっている
免疫の仕組みは全身に張り巡らされていますが、その中心的な役割を担っているのが腸です。

体内の免疫細胞の多くは腸に存在し、体内に入ってくる異物や病原体などと、常に向き合っています。そして腸内細菌は、免疫細胞と情報をやり取りしながら、免疫にも関与しています。

つまり、腸は「消化の場」であると同時に「免疫の最前線」でもあるのです。

🔵免疫は、訓練を受けて育つ
免疫は、生まれた瞬間から完成しているわけではありません。
どの反応を強め、どの反応を抑えるかを、成長の過程で学んでいきます。

その訓練相手となっているのが、腸内に棲む微生物たちです。最も多くの免疫細胞が集まっている腸は、免疫の訓練場とも言われています。

そして腸内細菌は、免疫の訓練場である腸内で、体内に入ってきた物質について、排除すべきか共存すべきかを、免疫細胞に教えているのです。

こうしたやり取りを通して、免疫は

✅過剰に反応しない
✅必要なときに、きちんと働く

という、繊細な調整力を身につけていきます。

腸内に多様な微生物が存在しているほど、免疫はさまざまな刺激に慣れ、落ち着いた判断ができるようになります。

逆に、この訓練の機会が少なくなると、免疫は「反応しすぎる」「うまく働かない」といった状態に傾きやすくなることが、わかってきています。

🔵多様な腸内細菌が、免疫の柔軟さを支える
腸内細菌の多様性は、免疫が環境の変化に柔軟に対応するための土台です。

腸内にさまざまな種類の微生物が存在しているほど、免疫は正しく機能しやすくなります。過剰反応したり、必要な時に働かないといった、乱れがおきにくくなります。

腸内環境のバランスが乱れると、免疫の働きにも影響が及ぶことが、研究からわかってきています。