Diet found to contribute to urban-induced alterations in bird gut microbiota という記事の翻訳です。
翻訳文責:
一社)化学物質過敏症・対策情報センター
代表理事 上岡みやえ
野鳥の腸内微生物叢の研究
ゲント大学、アントワープ大学などの研究者チームは、エサをとる場所によって、鳥の腸内微生物叢が変化することを発見し、英国王立協会B誌に発表しました。
同種の鳥でありながら、生息場所によって腸内微生物叢が変化するという先行研究に刺激された研究者たちは、都市部に生息する野鳥と、農村部に生息する野鳥の食生活を比較調査研究に着手しました。
研究チームは、異なる6つの場所(都市部3ヶ所・農村部3ヶ所)で、計114羽のスズメに餌を与えた後、腸内微生物叢のサンプルを収集し解析しました。
腸内微生物叢のサンプルは、捕獲した鳥から、注射器を使って収集しました。
スズメに、自然から採取した食べ物を与えると、腸内微生物叢の多様性が増加することがわかりました。逆に、都会の食べ物(パンくずなど人間の残飯)を与えると、腸内微生物叢の多様性は減少しました。
比較調査した中で、腸内微生物叢の多様性が最も低かったのは、都会の食べ物を与えられた農村部のスズメでした。
腸内微生物叢の多様性が少ない個体は、繁殖力が弱い傾向があるうえに、生まれた子の生存率が低いことから、研究者たちは、腸内微生物叢の多様性が、鳥類に大きな影響を及ぼすと述べています。
先行研究では、腸内微生物叢の多様性が低い個体は、食物中の栄養素を消化する能力が低いことが報告されています。消化能力が低い個体は栄養失調となり、徐々に弱って死んでいきます。
研究者らは、鳥などの野生動物のうち、腸内微生物叢の多様性が低い個体は、気候変動などの変化に耐えられなくなる可能性が高いのではないかと考えています。