[ホルモンのはたらき]|家庭の医学|時事メディカルの抜粋要約です。
神経・内分泌・免疫
わたしたち生物のからだは、絶えず変化する外部の環境に適応したり、外敵から身を守るために
・神経系
・内分泌系
・免疫系
の3つが密接な関係をもちながら、からだの機能を調節しています。
精神的なストレスを受けると、ホルモン分泌が変化し、それが神経系や免疫系の作用に影響を与えていきます。
ホルモンの作用
ホルモンの作用は多様ですが、
①成長と成熟の調節
②生殖機能の調節
③エネルギー代謝(貯蔵と消費)の調節
④ストレスに対する防御
という役割を担っています。
成長には、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど多くのホルモンが必要です。また、性機能の発達や維持には性ホルモンが決定的な役割を果たします。
ホルモンは、ごく微量で作用を発揮します。
ホルモンの分泌
ホルモンは、脳下垂体をはじめ複数の内分泌腺から分泌され、多くは血液によってほかの組織に運ばれて、そこでいろいろな作用を発揮します。
一部のホルモンは血液を介さないで局所的に作用するものもありります。種類によっては、複数の組織から分泌されるホルモンもあります。
最近では、心臓や脂肪細胞など従来は内分泌組織とは考えられていなかった組織からも、ある種のホルモンが分泌されることもわかってきました。
ホルモンは、必要なときに、必要な量が、必要な期間、分泌されます。
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以下は、How Your Gut Microbiome Influences Your Hormones の翻訳です。
翻訳文責:
一社)化学物質過敏症・対策情報センター
代表理事 上岡みやえ
ホルモンと腸内細菌
近年の研究によって、腸内細菌が、従来考えられてきた以上に、ホルモンに影響を与えていることがわかってきました。内分泌系で最も重要な役割を果たす可能性があることさえもが示唆され始めています。
腸内細菌は、体内のほぼすべてのホルモンに影響を与えます。
【甲状腺刺激ホルモン】
腸内細菌の種類が少ないことと、甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルが高いことは、関連しあっています。 TSHが多すぎると、過敏症、不安、不整脈、急速な体重減少を引き起こす甲状腺機能亢進症になる場合があります。
腸内細菌のバランスが悪いと、体重増加、寒さへの過敏、乾燥肌、便秘、記憶力の低下などを引き起こす甲状腺機能低下症を発症することがあります。
腸と、甲状腺ホルモン産生との間には、つながりがあるため、甲状腺異常に悩む人にとって、最優先されるべきは腸内環境を整えることになります。
【エストロゲン】
エストロゲンは、女性性徴の発現、女性器の発育を促すエストロゲンは女性ホルモンとして有名ですが、男性も少量のエストロゲンを必要とします。
腸内細菌は、エストロゲンを活性化させる酵素ベータグルクロニダーゼを生成します。腸内細菌のバランスが悪いと、体内のエストロゲン量が多くなったり少なくなったりします。
エストロゲンが多すぎると、体重が増えたり、癌になる可能性があります。エストロゲンの量を整えてくれる腸内細菌が必要になります。
【メラトニンとセトロニン】
快眠ホルモンといわれるメラトニンを作るには、大量のセロトニンが必要です。
幸せホルモンといわれるセロトニンは、腸内細菌が、その90%を産生しています。
睡眠不足は、腸内細菌に悪影響を及ぼす可能性があることがわかってきています。シフトワークに就くと、体内の炎症箇所が増えて、肥満、メタボリックシンドローム、II型糖尿病のリスクが高まることが報告されています。
決まった時間に眠って、決まった時間に起きる、規則的な生活を送ることは、あなたの体と腸内細菌が健康でいるための、重要ポイントです。
【ストレスホルモン】
コルチゾール、エピネフリン、ノルエピネフリンは、体に注意を向けさせるストレスホルモンです。体は、「闘争・逃走反応」を必要とするときに、これらのホルモンを放出し、心拍数と血圧を上昇させます。
緊急時には必要となるホルモンですが、これらが長時間、高レベルで放出され続けると、腸内細菌の組成を変化させる可能性があります。
これらのホルモンのレベルが一貫して高まると、サルモネラ菌が活性化し、病気になりやすくなるという報告もあります。
高レベルのストレスホルモンは、腸内細菌のなかに有害な遺伝子を発現させることがあります。動物実験では、エピネフリンとノルエピネフリンのレベルが高いと、一部の病原体の毒性が高まり、本格的な感染症を発症させやすくすることが分かっています。