酵素とは
体の中では、さまざまな化学反応が起こっています。それぞれの反応を引き起こすために、触媒として必須のたんぱく質が、酵素です。ヒトを含む生物が、摂取した食べ物を消化・吸収・代謝したり、体の中で起こるほとんどの化学反応には、酵素がなくてはなりません。
酵素の特異性
各酵素は、それぞれある特定の反応しか触媒することができません。例えば、たんぱく質を分解する酵素は、たんぱく質を分解することしかできず、でんぷんや脂質を分解することができません。
でんぷん分解酵素はでんぷんしか分解できず、脂質分解酵素は脂質しか分解できません。これを酵素の特異性と呼びます。
酵素が働く温度条件
ほとんどの酵素の主要な構成要素はたんぱく質です。そのため、加熱すると構造が変化して、酵素の機能を失います。
多くの酵素は、ヒトや動物の体内で働くために、摂氏35度から40度の温度で最もよく働きます。
酵素が働くph条件
ヒトの体液のpHは7.35〜7.45なので、多くの酵素は中性付近のpHで最もよく働きます。
しかし、胃の中は胃酸により強い酸性であるため、胃で働くたんぱく質を分解する酵素であるペプシンは、pH2という非常に低いpHの条件下で最も活性が高くなり、中性付近ではほとんど働きません。
酵素と腸内細菌
ヒトの腸管上皮には、食物繊維(植物性多糖類)を消化する酵素は数えるくらいしか備わっていなませんが、嫌気性菌を中心とする腸内細菌には、これらの酵素が豊富に備わっています。
腸内細菌は数も種類も多いため、酵素の種類も多彩です。肝臓に存在する酵素の種類をはるかに上廻り、活性も高いのです。
腸内細菌は、ビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生します。ビタミンは、酵素の働きを助ける「補酵素」として作用します。
腸内細菌の構成は腸内代謝に反映し、それがさらに、生体にさまざまな影響を及ぼしていきます。
ヒトの体は腸内細菌を作り出せない!
腸内細菌を増やせば酵素もビタミンも増えていきます。
ヒトの体は腸内細菌を作り出せないので、外部から補給する必要があります。
【参考資料】