一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

⑤北谷町長からの回答

当センターが北谷町議会に提出した『北谷町における化学物質過敏症の周知と適切な対応に関する陳情』(陳情第14号)は、2025年12月の文教厚生委員会において全会一致で即日不採択となりました。

しかし、陳情第14号の要望事項は、いずれも北谷町長または北谷町教育委員会が独自の裁量で実施できる内容です。

特に要望1は、北谷町の裁量で実施できます。議会の採決結果とは関係なく、北谷町として「必要だ」と判断すれば、実行できるのです。

そこで、当センターは、2026年3月12日付で北谷町長と北谷町教育委員会教育長に、陳情書の要望を検討いただきたいという「要望書」を提出しました。

つまり「不採択になった陳情」を「町長・教育委員会への直接要望」にスライドさせたのです。

詳細は、③北谷町の町長・教育長・町議会議長に「要望書」を提出をご覧ください。

このたび、北谷町長・渡久地政志氏より、令和8年3月30日付(北総7第8225号)の書面による公式回答を受領しましたので、その内容をご報告します。

 

🔵 回答の確認1:北谷町ホームページの担当課について

当センターが要望した内容:
陳情第14号の要望第1項は、「北谷町の公式サイト(ホームページ)に、化学物質過敏症に関する正確で簡潔な情報ページを作成すること」でした。これは北谷町民全員に向けた情報提供を求める要望です。

北谷町議会・文教厚生委員会による不採択理由:

文教厚生委員会はこの要望を不採択とした理由のひとつとして、「ホームページの担当課が教育委員会であった場合」という「仮定」を挙げていました。

当センターが確認させていただいたこと:

北谷町のホームページ担当課は、実際に教育委員会なのか。もし教育委員会でないならば、誤った前提に基づいて審議が行われ、不採択になった可能性があるため、事実関係を明らかにするよう求めました。

北谷町長の回答:

> システムの維持管理は総務部町長室が担当しておりますが、掲載する個別の内容作成については、それぞれの業務を所管する各課が判断し、運用しております。

> 文教厚生委員会における審議の過程で、組織図や担当部署の定義について誤解が生じた可能性をご指摘いただいておりますが、町といたしましては、現行の組織規定に基づき適切に事務を分掌しているものと認識しております。

情報整理:

北谷町長の公式回答によって、北谷町ホームページのシステム管理は「総務部町長室」が担当していることが公式に確認されました。

教育委員会がホームページを担当しているかのような「仮定」のもとに審議が行われ、陳情第14号の要望1が全会一致で不採択にされた事実は、北谷町長の回答によっても裏付けられた形となりました。

なお、北谷町教育委員会・教育長からの回答でも同様に、「公式サイトに情報ページを作成することは、教育委員会の所管業務ではない」との見解が示されています。

詳細は ④北谷町教育委員会・教育長からの回答 をご覧ください。

 

 

🔵回答の確認2:事務執行のあり方についての釈明要求への回答

当センターが確認させていただいたこと:

沖縄県教育委員会は、令和7年9月3日付の通知(教保696号)にて、小中学校長に対し、化学物質過敏症について「教職員や保護者に周知する」よう求めていました。

ところが、北谷町教育委員会学校教育課に確認したところ、すでに校長に配布済みの「教保696号」を、教頭と県事務職員にメールで再送したことをもって「周知の完了」とみなしていることがわかりました。また、各学校が実際に「教職員や保護者への周知」を実施したかどうかは追跡確認していないとのことでした。

この事務処理のあり方について、当センターは以下の三点を問題として指摘し、町長に見解を求めました。

> ① 沖縄県教育委員会の要請を実質的に放棄している
> ② 文教厚生委員会による審議の場で、陳情第14号の要望は実施済みであるという誤解を与える
> ③ 実質的にこの要望を放棄したことは「学校保健安全法」上の「安全配慮義務」違反に相当する

 

北谷町長の回答:

> 教育委員会は、地方自治法に基づき設置された独立した執行機関であり、その内部の意思決定や事務執行については、法令に抵触しない限り、その裁量を尊重すべきものと考えております。沖縄県教育委員会からの文書(令和7年9月3日付教保第696号)を受けた周知のあり方につきましても、教育委員会において、その趣旨に則り適切な方法を選択し、執行されたものと認識しております。

> そのため、具体的な事務処理のプロセス(釈明要求①〜③)について、町長が個別に是非を判断し言及することは、教育委員会の独立性を鑑み、控えさせていただきます。

 

情報整理:

釈明要求①②③のいずれについても、町長は「教育委員会は独立した執行機関であるため、個別の是非について町長として判断・言及することは控える」と回答しました。

③で指摘した事務処理のあり方は問題か問題でないか、②で指摘した「審議の場での誤解を与えた」ことは問題か問題でないか——これらについて、町長からの直接的な見解は示されませんでした。

なお、教育委員会が独立した執行機関であることは地方自治の原則に基づくものであり、町長がその裁量を尊重する立場におられることは制度上の事実です。

 

🔵総括

当センターが北谷町長に提出した要望書には、4つの要望事項がありました。それぞれに対する回答の有無を整理します。

要望1)
「北谷町組織図に関する釈明要求」および「学校設置者の責務放棄に該当する事務執行への釈明要求」について、調査のうえ書面で回答すること。

→ 組織図(ホームページ担当課)については、「総務部町長室が管理している」と回答がありました。事務執行への釈明(①②③)については、「教育委員会の独立性を鑑み、町長として個別に判断・言及することは控える」との回答でした。

要望2)
陳情第14号の内容を北谷町として精査し、北谷町としての見解を書面で回答すること。

→ 回答書には、陳情第14号の内容を北谷町として精査した旨の記述はありませんでした。

要望3)
陳情第14号の要望1が妥当と判断した場合は、北谷町の公式サイトに化学物質過敏症に関する情報ページを追加すること。

→ 回答書には、この点についての判断・言及はありませんでした。

要望4)
陳情第14号の要望が教保696号と整合しており妥当と判断した場合、学校設置者の裁量権を行使し、要望2〜5を速やかに実施すること。

→ 回答書には、この点についての判断・言及はありませんでした。

 

回答書の末尾には、以下のように記されていました。

> なお、化学物質過敏症をはじめとする、健康上の課題を抱える児童生徒や町民の皆様への配慮は、公衆衛生および教育環境の維持において重要な視点であると認識しております。今回のご指摘を重く受け止め、今後とも各部局および教育委員会との円滑な連携に努め、町民の皆様の安全・安心な生活に資する行政運営を目指してまいる所存です。

回答書の原文は、以下に掲載します。