
当センターが北谷町議会に提出した『北谷町における化学物質過敏症の周知と適切な対応に関する陳情』(陳情第14号)は、2025年12月の文教厚生委員会において全会一致で即日不採択となりました。
しかし、陳情第14号の要望事項は、いずれも北谷町長または北谷町教育委員会が独自の裁量で実施できる内容です。特に要望2~5は、北谷町教育委員会の裁量で実施できます。議会の採決結果とは関係なく、教育委員会として「必要だ」と判断すれば、実行できるのです。
そこで、当センターは、2026年3月12日付で北谷町長と北谷町教育委員会教育長に、陳情書の要望を検討いただきたいという「要望書」を提出しました。
つまり「不採択になった陳情」を「町長・教育委員会への直接要望」にスライドさせたのです。
詳細は、③北谷町の町長・教育長・町議会議長に「要望書」を提出をご覧ください。
このたび、教育長の公式回答を受領しましたので、その内容を共有させていただきます。
🔵 回答の確認1:ホームページの担当は?
当センターは、北谷町議会に陳情書を提出し、「北谷町の公式サイトに、化学物質過敏症に関する正確で簡潔な情報ページを作成すること」を要望していました。
しかし、北谷町議会・文教厚生委員会は、この要望を全会一致で即日不採択とし、その理由のひとつは「もしホームページの担当が教育委員会であった場合」という「仮定」でした。
これについて、北谷町教育委員会の教育長あてに、事実確認を求める「要望書」を提出したところ、以下の回答をいただきました。
公式サイトに情報ページを作成することについては、教育委員会の所管業務ではないと考えております。
情報整理:
北谷町議会・文教厚生員会は「北谷町ホームページ」を所管する部署を確認することなく、事実無根の「仮定」によって、当センターの「北谷町の公式サイトに、化学物質過敏症に関する正確で簡潔な情報ページを作成すること」という要望を全会一致で即日不採択したことが、北谷町教育委員会・教育長からの公式回答によって完全に証明されました。
🔵 回答の確認2:北谷町教育委員会の「周知」方法
当センターは、北谷町議会に陳情書を提出し、以下を要望していました。
要望2 町内の全公立学校(小中学校)の教職員に向けて化学物質過敏症について周知すること
(化学物質過敏症について知る人が少ないため発症者の多くは別の病だと思い込んでいる場合が多い・症状は多岐にわたる・反応する物質や症状の出方と度合いの個人差が大きい・小中学生の1割が罹患している・公的診断基準がない・治療法がない・頼れる病院は皆無に近い・発症すると周囲の協力(香料製品の使用自粛など)なくしては生活できなくなってしまうことなど)要望3 児童の健康診断時に、化学物質過敏症に関する説明文(2と同等)を配布すこと
要望4 児童の健康診断時の問診票に「化学物質や香料で体調不良になる」という項目を追加すること
要望5 化学物質や香料に反応して体調不良になる児童に対し、学校現場で適切な対応をとる体制を整えること
これに対し、北谷町教育委員会(学校教育課)は、以下のように答弁していました。
各種の周知については、県教育委員会に文部科学省から通知があり、各教育事務所を通して町教育委員会へ通知される。県教育委員会と連携して周知しており、県教育委員会から届いた通知を各学校へ周知している
当センターは、これまで沖縄県議会等へ請願書等を提出してきた関係で、沖縄県教育委員会が発出した通知(教保696号)を、公文書開示請求によって独自に入手していました。この文書には以下のように明記されています。
県ホームベージに掲載している啓発資料「化学物質過敏症を知っていますか」(別添)をご活用いただき、学校関係者および保護者への周知を図っていただきますようお願いします。(教保696号)
そこで、当センターが把握しているこの(教保696号)について、どのように各学校へ周知しているのかを、北谷町教育委員会に電話確認しました。
すると、当該文書(教保696号)を、教頭と県事務職員へメールしたことをもって「周知した」と回答されました。各学校が「保護者への周知」を実施したかどうかの追跡確認は行っていないそうです。
当センターが入手していた(教保696号)には、「学校関係者および保護者への周知」が求められているため、当センターは、教育長あての要望書にて、「これをもって『周知の完了』とみなす事務処理は、県の要請の放棄であり、議会への誤信付与ではないか?」と釈明を求めました。
これに対する教育長の公式回答がこちらです。
要望2:
本教育委員会からの送付を受け、管理職と養護教諭で情報を共有し、適切に対応しているとの報告を受けております。要望3:
各学校で適切な機会に『保護者連絡ツール』にて、周知されるものと考えております。
情報整理:
北谷町では、沖縄県教育委員会からの通達(教保696号)について、適切な対応がなされていることが示されました。
教育長の回答は、電話対応してくれた学校教育課職員の「周知の追跡確認はしていない」という回答と矛盾していますが、釈明要求への公式回答であることから、調査を経たうえでの説明であると理解いたしました。
🔵 回答の確認3:「自由記載欄」の活用
当センターは、化学物質過敏症では原因に気づかず苦しむケースが多いことから、健康診断問診票へ「化学物質や香料で体調不良になる」という項目を追加するよう要望しました。
この要望は、北谷町議会・文教厚生員会にて全会一致で即日不採択にされました。そのため、健康診断問診票への質問追加について「裁量権」を有する北谷町教育委員会に、改めてこの要望を実装するようお願いいたしました。
これに対する教育長の公式回答がこちらです。
要望4について:
健康診断は学校保健安全法に基づいて実施されるものであり、保健調査票(問診票)は、学校医による助言や健康診断ガイドラインを参考に健康診断の検査項目(学校保健安全法施行規則第6´条)に則した内容で構成されております。また、保健調査票(問診票)には、自由記載の欄があり、健康上配慮を必要とする場合には、保護者が当該欄へ記載することで、担任及び養護教諭が情報を共有することができるものとなっております。
情報整理:
北谷町教育委員会・教育長のご見解は、既存の「自由記載欄」を活用することで十分に情報を共有できるというものでした。
当センターの「発症者の多くは、自分が化学物質過敏症であることに気づけていません。化学物質過敏症には確立された治療法がなく、公的な診断基準もありません。化学物質過敏症について正しい知識を有している医師は皆無に近いです。そのため、誤診により体調を悪化させてしまう人が後を絶ちません。」という危惧は、北谷町においては、学校医による助言と、沖縄県教育委員会と連携した周知活動によって克服されており、保健調査票(問診票)の自由記載欄を通して実態把握できていることが示されました。
🔵 回答の確認4:県マニュアル(別紙)の適用
学校現場での適切な対応体制について、教育長からの回答書には次のように記されていました。
要望5について、化学物質等による体調不良のみならず、体調不良を訴える児童生
徒に対しては、保健室にて休息を取らせたり、保護者へ連絡を入れるなど、これま
でも学校全体で児童生徒の健康管理を行っております。
なお、化学物質等による体調不良の可能性がある場合は、教保696号へ添付され
ていました「別紙」【いわゆる「化学物質過敏症」を有する児童生徒への対応につい
て】を参考に対応を行ってまいります。
情報整理:
教育長の公式回答により、化学物質過敏症が疑われる児童生徒への対応は、沖縄県教育委員会が発した文書(教保696号)の「別紙」を参考に行われていることが示されました。
🔵 総括:
当センターが北谷町議会に提出した陳情書は、全会一致で即日不採択になりました。しかし、5つの要望のうち4つは北谷町教育委員会に裁量権があるため、北谷町教育委員会・教育長あてに「要望書」として実装することをお願いいたしました。
教育長からいただいた公式回答によって、北谷町では、化学物質過敏症に関する周知が徹底されており、学校医の助言と沖縄県教育委員会からの通達(教保696号)「別紙」【いわゆる「化学物質過敏症」を有する児童生徒への対応について】をもとに対応できていることが示されました。

