一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

推定患者数1000万人。化学物質過敏症と共生できる社会は、誰もが安心して暮らせる社会。

①北谷町議会・文教厚生委員会 参考人招致いただきました!

北谷町議会・文教厚生委員会に参考人として招致いただきました

― 陳情者が直接説明できる制度のもとで、話をしてきます ―


このたび、沖縄県北谷町議会・文教厚生常任委員会において、一般社団法人 化学物質過敏症・対策情報センターが提出した陳情書について、「参考人招致」という形で説明の機会が設けられました。

【参考人招致とは】

北谷町議会では、陳情や請願の審査にあたって、陳情者が委員会の場で直接説明できる「参考人招致」という制度が設けられています。

多くの自治体では、陳情は書面審査のみで扱われ、陳情者が説明できる場が設けられることは稀です。

そうした中で、北谷町議会が「参考人招致」という形で、陳情者の声を直接聞く仕組みを整えていることは、非常に先進的で、開かれた議会運営であるといえます。

「話を聞いてもらえる」
「直接説明できる」

陳情者が直接説明できる制度が実際に運用されていることに、制度としての意義の大きさを感じています。

地方議会が、市民の声を「書面」ではなく「生の声」として受け止めようとしてくれている。素晴らしいことです。

また、北谷町議会・文教厚生常任委員会は、教育や福祉、子どもの健康といった分野を扱う委員会として、「きめ細かな視点での対応が期待されている委員会」であると紹介されたことがあります。

 

www.okinawatimes.co.jp

 

北谷町議会・文教厚生委員の皆様に説明できることを光栄に思います。

 


陳情書の内容

令和7年11月11日

北谷町議会議長 仲地泰夫 様

 

陳情者

住  所 (略)
団 体 名 一社)化学物質過敏症・対策情報センター                     代表理事 上岡みやえ      ㊞

(連名者の住所氏名省略)

 

件名  北谷町における化学物質過敏症の周知と適切な対応に関する陳情

 

【要望事項】

1 北谷町の公式サイトに、化学物質過敏症に関する正確で簡潔な情報ページを作成すること

2 町内の全公立学校(小中学校)の教職員に向けて化学物質過敏症について周知すること
(化学物質過敏症について知る人が少ないため発症者の多くは別の病だと思い込んでいる場合が多い・症状は多岐にわたる・反応する物質や症状の出方と度合いの個人差が大きい・小中学生の1割が罹患している・公的診断基準がない・治療法がない・頼れる病院は皆無に近い・発症すると周囲の協力(香料製品の使用自粛など)なくしては生活できなくなってしまうことなど)

3 児童の健康診断時に、化学物質過敏症に関する説明文(2と同等)を配布すること

4 児童の健康診断時の問診票に「化学物質や香料で体調不良になる」という項目を追加すること

5 化学物質や香料に反応して体調不良になる児童に対し、学校現場で適切な対応をとる体制を整えること

 

【要望の理由】

化学物質過敏症は、化学物質や香料に反応して多様な身体症状を引き起こす疾病です。反応する物質や、症状の出方や度合いには、大きな個人差があります。症状が悪化すると、登校することも就労することも困難となる、恐ろしい病です。

日本国内の成人における有病率は7〜8%とされています。さらに、日本臨床環境医学会などが2024〜2025年に実施した全国1万人規模の調査では、小中学生の約1割が香料等で体調不良を経験していることが明らかになりました。しかし、発症者の多くは、自分が化学物質過敏症であることに気づけていません。

化学物質過敏症には確立された治療法がなく、公的な診断基準もありません。化学物質過敏症について正しい知識を有している医師は皆無に近いです。そのため、誤診により体調を悪化させてしまう人が後を絶ちません。

化学物質過敏症という、診断基準も治療法も存在しない「知られざる国民病」から児童の健康と将来を守るには、学校現場と地域行政が正確な情報を把握し、誤解のない初期対応を行うことが必要不可欠です。

【添付資料】

化学物質過敏症を見分ける基準

 

日本国内では、化学物質過敏症の診断基準はないとされていますが、世界的に使われている、化学物質過敏症を見分ける基準は存在します。それが「化学物質過敏症のコンセンサス (1999)」です。

 

「化学物質過敏症のコンセンサス (1999)」は、世界各国の患者にみられる症状の発現パターンを基にして、1999年の有識者会議にて策定された基準です。その後、この基準は、オンタリオ州保健省の資金提供を受けたトロント大学の環境過敏症研究ユニット (EHRU) によって検証されてもいます。

 

「化学物質過敏症のコンセンサス (1999)」が策定されてから現在に至るまで、この基準を覆す科学的論文は発表されていません。

 

化学物質過敏症:コンセンサス1999

 

① 慢性の経過をたどる

② 再現性をもって症状が出現する

③ 微量な化学物質に反応を示す

④ 関連性のない多種類の化学物質に反応を示す

⑤ 原因物質の除去で症状は改善される

⑥ 症状は複数の器官、臓器にまたがる

 

 

出典:
Multiple chemical sensitivity: It's time to catch up to the science
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0149763423001963
(翻訳:https://www.mcs-information.online/entry/MCS-review-2023-2

 


陳情書の必要性

化学物質過敏症は、ごく微量の化学物質に反応して体調不良をおこす疾病です。どんな物質に反応するかや、呈する症状とその度合いの個人差が大きいことが特徴です。

厚生労働省の病名リストに登録されている疾病ですが、化学物質過敏症を診てくれる病院は日本国内に数院しかないため、診てもらうことも、診断書を発行してもらうことも困難です。

化学物質過敏症の発症メカニズムは不明とされており、治療法も確立されていないため、一度発症すると、延々と続く、終わりのない体調不良に悩まされ続けることになります。


化学物質過敏症が悪化すると、学校へ行くことも、働くことも困難になります。肉体的苦痛はもちろんのこと、周囲の無理解による精神的苦痛、生活が破壊されていく恐怖、将来に対する不安感などは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

化学物質過敏症を発症する人は加速度的に増えており、何らかの対策を講じなければ、社会が成り立たなくなってしまう恐れさえあります。

近年の調査では、小中学生の約1割が香料等によって体調不良を経験していることが明らかになっています。10人に1人の児童が、治療法が確立されていない病に苦しんでいるのです。これは、社会をあげて取り組んでいかねばならない公衆衛生上の課題だといえるのではないでしょうか。

しかしながら、化学物質過敏症は、いまだ社会的に十分認知されておらず、ごく少数の人の特殊な話だと思い込んでいる人も少なくありません。そのため、小中学生の約1割が香料等によって体調不良を経験しているにもかかわらず、学校現場において適切な対応がなされているとはいえない状況が続いています。

学校で毎年必ず行われる健康診断の際に、「化学物質や香りで体調不良になったことがある」と問いかけることで、人知れず苦しんでいたお子さんを可視化できますし、その問い自体が、化学物質過敏症や香料過敏症に関する情報提供にもなります。

当該陳情に関連する行政対応

沖縄県では、当センターが2021年11月に沖縄県議会あてに提出した請願書を通して、2022年度より、沖縄県立学校で行われる健康診断の際の問診票に「化学物質や香りで体調不良になったことがある」という質問が追加されました。

また、文部科学省は、2023年7月、全国の教育委員会に対して、香りによる体調不良について対応してほしいという消費者庁からの文書を配布しています。

文部科学省も、一部の地方自治体(沖縄県や船橋市)も、化学物質や香料によって体調不良になる児童への対応の必要性を理解し、苦しんでいる児童を可視化することに注力し始めています。

非公式ではあるものの、沖縄県から「市町村立学校には各市町村へ要望しなくてはならない」という助言もいただいています。

国から、そして県からの追い風が吹いている中で、北谷町議会あてに化学物質過敏症に関する陳情書を提出できたことが、嬉しくてなりません。

北谷町においても、子どもたちに最も近い行政として、より実効性のある対応が進められることを期待しています。