一般社団法人化学物質過敏症・対策情報センター

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都市部の大気汚染 排ガスと香料製品が原因だった

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以下、NOAA RESEARCH NEWS, Fragrant consumer products a key source of ozone-forming pollution in New York City   NOAAリサーチニュース「ニューヨーク市のスモッグは香料製品が主原因だった」という記事の翻訳です。

※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration
=アメリカ海洋大気庁。アメリカ合衆国商務省の機関の一つ。海洋と大気に関する調査および研究を専門とする。

 

 

ニューヨーク市のスモッグの原因は香料製品だった

NOAAの科学者たちは今、ラスベガスとロサンゼルスに注目している

2021年8月3日火曜日


暑いです。デオドラント、日焼け止め、虫よけスプレー、髪をバサバサにしないためのコンディショナーの季節です。汗臭いトレーニングウェアが山積みになった洗濯室には、少しばかり芳香剤をスプレーしたいところです。

NOAAの新しい研究は、このようなパーソナルケア製品が、都市部の対流圏オゾン「スモッグ」を生成する、主たる原因物質となっていることを明らかにしました。

2018年、ニューヨーク市において、NOAA(アメリカ海洋大気庁)の調査車両が収集した空気に含まれていた揮発性有機化合物(VOC)のうち、香料入りのパーソナルケア製品が半分以上を占めていました。

 

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揮発性有機化合物(VOC)は、スモッグを生成する主成分です。スモッグは、子供や高齢者、そして喘息などの肺疾患を有する人全員に、さまざまな健康被害をもたらす可能性があります。

この調査結果は今週、全米科学アカデミーの議事録に掲載されました。

新研究の筆頭著者で、NOAA/アメリカ海洋大気庁に出向中、コロラド大学ボルダー校環境科学共同研究所(CIRES) 所属の科学者 マシュー・コゴンは言います。

「都市の人口密度増加にともなって、消費者製品からのVOC排出量がどれだけ増加するか、そしてこれらの化学物質がオゾンの生成に実際にどれだけ重要であるか、がポイントとなります。」

現在、NOAAs Chemical Sciences Laboratory の研究者は、米国南西部の2大都市圏に注目しています。

7月から、大学の仲間や協力者らとともに、「SUNVE xフィールド調査ミッション」として、ラスベガスとロサンゼルスのVOCなど、大気汚染の原因物質をつきとめるために、「計測器を備えた調査車両」と「地上」での測定を行っています。

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空気質への新たな脅威

何十年もの間、大気質規制当局は、自動車と発電によって生成された 揮発性有機化合物(VOC)を規制することで、都市のスモッグを減少させてきました。

ところが、2018年、NOAA/アメリカ海洋大気庁の研究によって、様々な消費者製品に含まれる石油由来の化学物質「揮発性有機化合物(VOC)」が、排ガスに匹敵する汚染源であることが明らかになったのです。

マシュー・コゴンのこれからの研究は、2021年初めに Environmental Science&Technology に掲載された論文 Observations Confirm that Volatile Chemical Products Are a Major Source of Petrochemical Emissions in U.S. Cities をもとに構築されています。この論文によると、マンハッタンの大気汚染物質のうち、塗料、洗剤、パーソナルケア製品などの化学製品由来が78%、自動車由来が22%でした。

この研究の筆頭著者、コロラド大学ボルダー校環境科学共同研究所(CIRES)に所属していた科学者 Georgios Gkatzelis は、当初、消費者製品が、オゾン汚染(スモッグ)の主たる原因になっていることに、懐疑的でした。

「コロラド州ボルダーで、調査車両に搭載された計測器を眺めているときに、揮発性有機化合物(VOC)の主な発生源が、整髪剤などの消費者製品であることを確信しました。ニューヨーク市では、マシュー・コゴンと2人、計測器の数字に驚いて、叫びあっていました。」

 

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Georgios Gkatzelis は今、ドイツで研究を続けています。

コロラド州ボルダーという、人口密度の低い地域で行われた測定では、大気中の人為的VOCの42%は消費者製品由来、58%は自動車由来であることが示されました。

Georgios Gkatzelis は、アメリカ合衆国国内では、都市部の揮発性有機化合物(VOC)の50〜80%が、消費者製品由来であると推定しています。

 

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気化させる設計

揮発性有機化合物(VOC)は、松林のような自然からも、石油燃焼などの人為的活動からも発生する、炭素ベースの化合物です。

揮発性化学物質を配合している製品はすべて、自然発生源と人為的発生源の特徴を有しています。

自然界では、重要な成分を機能させるため、たとえば香りを運ぶため、または残留物を表面に付着させるため、その成分を「気化」させなくてはなりません。

 

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人間界では、気化させる成分(様々な製品に含まれる香料成分を含む)の多くを、石油から作ります。

地表のオゾン汚染と都市スモッグは、揮発性有機化合物(VOC)と窒素酸化物(NOx)によって生成されます。

空気中では、太陽光がトリガーとなって、揮発性有機化合物(VOC)と窒素酸化物(NOx)が反応し、オゾンと粒子状物質を形成する可能性があります。

大気質規制は通常、オゾン汚染を抑制するために、揮発性有機化合物(VOC)と窒素酸化物(NOx)の両方を規制しています。

 

 

規制当局にとっての新たな挑戦

揮発性化学物質を配合している製品から放出される物質が、あらゆるところに存在していることを示す研究は、増えるばかりです。

調査が行われた欧米都市では、人為的VOCの総排出量の半分、あるいは半分以上を、香料製品が占めています。残りは車の排ガスです。

マシュー・コゴンは、現在の大気質モデルは、これらの消費者製品の排出量と大気化学の両方を正確には反映していないため、より精度の高いモデルへ修正しなくてはならないと言います。

スモッグが問題となっている地域では、揮発性有機化合物(VOC)の発生源を管理するために、新しい戦略を考案すべきでしょう。

パーソナルケア製品や、柔軟剤などの香料製品、洗剤などの日用品が、スモッグを悪化させています。

 

私たちは、自然の森から放出されるものは制御できませんが、広く使われている商品による汚染については、これを抑制していかねばなりません。 

 

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