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アメリカの国立衛生研究所(NIH)ヒトの微生物叢研究プロジェクト

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      アメリカ国立衛生研究所 本部(メリーランド州)

 

トの微生物叢研究

今までは、抽出培養するのが困難だという理由から、腸内細菌などヒトの微生物叢についての研究は進んでいませんでした。

しかしながら、近年、新しい技術の出現によって研究が容易となり、ヒトに寄生している微生物叢の詳細が明らかになりつつあります。

それを象徴するのが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が、2008年に総額1億9400万ドル(約230億円)を投じて立ち上げた「ヒトの微生物叢(びせいぶつそう)研究プロジェクト」です。

以下、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の「ヒト微生物叢研究プロジェクト(NIH Human Microbiome Project」の翻訳です。

 

トの微生物叢(びせいぶつそう)

ヒトの微生物叢(Human Microbiome)は、人体に寄生して生きている真核生物、古細菌、細菌、ウイルスなど、すべての微生物によって構成されるコミュニティです。

 

人体に寄生している微生物は、平均的には、ヒトの細胞よりも10倍多く、ヒトのゲノムに存在する遺伝子よりも合計で約1000個多くの遺伝子が存在します。

 

しかし、微生物叢はとても小さいため、その総重量は、ヒトの体重の約1〜3%程度にとどまります。

 

これらの細菌叢は、人間にとって有害なものではありません。それどころか、健康を維持するためには不可欠な存在です。

たとえば、食物を分解して生き残るために必要な栄養素を抽出し、ビタミンを生成し、免疫システムに危険な侵入者を認識する方法を教え、病気を引き起こす侵入者と戦うための抗炎症化合物を生成します。

 

蓄積されてきた研究成果によって、私たちの微生物叢の組成が病態と相関することや、微生物叢のコミュニティ操作によって病気治療の可能性が高まることが、実証されてきています。


トの微生物叢研究プロジェクト

2008年に設立された、ヒトの微生物叢研究プロジェクト Human Microbiome Project(HMP)は、人間の微生物叢の特性を包括的に評価し、これがヒトの健康や病気にどのように作用するのかを分析し、基礎情報とすることを使命としています。

従来の微生物学では、独立した単位として、個々の微生物種を研究しようとしてきました。しかし、大多数の微生物種の活動は、実験上では再現されていない、あるいは再現不可能な特定の環境に依存しているため、分析のための標本にはなりませんでした。

ところが、DNAシークエンシング技術の進歩により、メタゲノムと呼ばれる新しい研究分野が生まれ、微生物叢を培養せずとも、包括的な研究ができるようになりました。

メタゲノムという方法では、実験室で増殖させた個々の微生物株のゲノムを調べる代わりに、自然環境からサンプリングされた微生物群集に由来するゲノムの集合体を調べます。

ヒトの微生物叢研究プロジェクト(HMP)は、この方法によって既知の分離株の遺伝情報を補完し、人間の微生物叢の複雑さについて、前例のない情報を提供しようとするものです。

 

ヒトの微生物叢研究プロジェクト(HMP)では、人体のいくつかの異なる部位:鼻腔、口腔、皮膚、胃腸管、および泌尿生殖器管などで発見された微生物叢の、人間の健康と病気に与える役割を研究します。

 

つの研究目的

研究目的は5つです。

・3,000種類の微生物の、遺伝子配列の参照集合の開発

・各部位に「核」となる微生物叢が存在するかどうかを確認しながら、体の各部位に存在する微生物のコミュニティの複雑性を評価する、始原細胞16SおよびmWGSのメタゲノム研究

 

・ヒトの微生物叢の変化が病態に与える影響を証明するプロジェクト

 

・コンピュータ解析における新しい手法と技術の開発、データ解析を行う統合センター(DACC)の設立と情報の集積

 

・人間の微生物叢のメタゲノム解析の研究と応用において考慮されるべき、倫理的、法的、社会的影響(ELSI)の調査

 

 

イライト

・人体から分離された2,200を超える参照集合の遺伝子配列が明らかになりました。

 

・18歳から40歳までの健康な成人300人の、口腔、鼻腔、皮膚、胃腸管、泌尿生殖器の5つの主要な身体部位からサンプリングされました。合計15または18の特定の身体部位があります。被験者は1〜3回の訪問でサンプリングされ、合計11,000を超えるサンプルが収集されました。詳細については、データモデルを参照ください。

 

・参照株とメタゲノム株の両方の生データと遺伝子データは、レガシーHMP1データブラウザーから入手できます。 HMPポータルでは、メタゲノムデータも利用できます。

 

・iHMPコンソーシアムは、2012年6月14日号のNatureで2つの画期的な論文を発表した他、PLoSjournalsでも、関連論文を発表しました。

 

これから発表される論文も、基礎から翻訳、臨床に至るまでの無数の研究を触媒し、支援することになるでしょう。